NPO法人 彦根景観フォーラム

ブログ移転のお知らせ

彦根景観フォーラムのブログは、平成26年4月より下記へ移転しました。
今後もよろしくお願いいたします。

http://hikone-keikan.seesaa.net
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# by hikonekeikan | 2014-05-07 13:18 | お知らせ&NEWS

7月の彦根景観フォーラムの行事のお知らせ

これからの彦根景観フォーラムの行事

◎7月5日(金)11:30~14:30 
滋賀大マルシェ2013「環境こだわり農産物 春の収穫祭」
 場 所:滋賀大学彦根キャンパス 生協前広場
 出店物:環境こだわり農産物、減農薬、有機農産物、同加工品環境に配慮した商品

◎7月6日(土)9:00~12:00
 多賀「里の駅」野菜市&集い
  9:00~12:00 地元農家の採りたて野菜の販売
  9:00~10:15 野鳥の森 植物観察会
 10:30~12:00 集い57 (参加費 500円)
  テーマ:童謡唱歌で巡る四季
  語り手:宮戸有子さん(慶照寺若坊守、ピアノ講師)
  試食会:夏野菜いっぱい!

  終了しました。
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◎7月19日(金)19:00~21:00
 月例会議
 場 所:ひこね街の駅「戦國丸」

◎7月28日(日)10:30~12:00
 足軽辻番所サロン「芹橋生活」
 テーマ:彦根城を世界遺産に
 彦根城の世界遺産登録に向けた現状と課題について、最近の世界遺産事情を織り交ぜながらお話します。
 語り手:谷口 徹さん(彦根城世界遺産登録推進室専門員、彦根景観フォーラム会員) 
 会 場:善利組足軽屋敷「太田邸」(芹橋二丁目)資料代:100円
 ※ 8・9月の辻番所サロンは、夏休みのため休講です。

◎7月28日(日)10:00~15:00
 古民家の夏「なつかしい田舎のおばあちゃんの家」
 場 所:多賀「里の駅」一圓屋敷
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  ◎自然豊かな里山で虫採り体験、植物採取
  ◎近江鉄道あかね号と新幹線N700型を
     ペーパーキットで作って線路模型で走らせよう。(材料代350円)
  ◎なつかしい昔の遊びを楽しもう。 カロム、けん玉、お手玉、あやとり、おはじきなど
  ◎なつかしい手作りおやつ 「ぼんがら」(がらたて)を作って食べよう。
  ◎日本のお庭を楽しみながら学ぼう。

 お昼は、多賀の野菜たっぷりカレー(500円)

 
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# by hikonekeikan | 2013-07-09 22:02 | お知らせ&NEWS

足軽遺産を守り、活かし、育てる

特集 足軽遺産を守り、活かし、育てる
     足軽・辻番所サロンで見えてきた「歴史まちづくり」

足軽・辻番所サロン「芹橋生活」とは
d0087325_21404111.jpg 彦根景観フォーラムと彦根辻番所の会は、彦根市芹橋で「足軽・辻番所サロン『芹橋生活』」を開催しています。2008年12月から始まり2013年3月で38回目を迎えたサロンは、城下町の歴史遺産を、まちの未来を紡ぐための貴重な資源と考え、まちなかに眠るさまざまな足軽遺産を発掘して活用する「歴史まちづくり」を進める目的で、地域の人々と一緒に学習し実践してきました。
 今回は、第37回「足軽屋敷を見てみよう!」で公開された2つの足軽組屋敷の修理の事例と、第38回「新出・中薮組足軽辻番所資料の紹介」で明らかにされた足軽家の相続や組のもめごとなどを紹介し、足軽遺産をどう活用するか、地域をどう育てていくか、「足軽・辻番所サロン」で取り組んできた「歴史まちづくり」の成果を考えてみます。

現地でみる足軽組屋敷の保存修理
d0087325_21443333.jpg  第37回は、2月24日(日)、四番町ダイニング・多目的ホールで、足軽組屋敷の保存修理の説明と現地見学会が行われました。約80名の参加者は3班に分かれて、吉居家~辻番所・旧磯島家~太田家(資料展示)~瀧谷家(初公開・中薮組屋敷・栄町・H24年市文化財指定)を訪れ、雪の降る中、熱心に説明に聞き入っていました。

暮らしに活かす吉居家住宅
d0087325_2154549.jpg 足軽組屋敷「吉居家住宅」の修理については、建築家で彦根景観フォーラム理事の笠原啓史さんが説明されました。
 長年空き家であった吉居家は、①瓦が劣化して雨漏れが各所でおこっている、②雨漏りが原因で、内部に蟻被害がある、③床には、足固めがなく構造的に弱い、④柱が庭側で大きく傾き、南に最大63mm、東に30㎜傾いている、⑤道路側小屋裏の丸太梁が切断されている、などの課題がありました。
 そこで、笠原さんは、市指定文化財としての価値を損なわないよう配慮しつつ、安全性を高め、この家で暮らすことを目的とした改修を行いました。具体的には、屋根の葺き替え、構造的補強として足固めや耐力壁の新設、蟻害、腐朽箇所の修理を行い、妻入りの玄関を当初の平入りに戻し、門・塀も当初に復元しました。
 さらに、増築してキッチンやトイレ、風呂などの水回りを新設し、現代の生活に合わせたコンパクトでシンプルな魅力をもつ空間を実現しています。住むことで建物を維持する例といえます。
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文化財として保存する辻番所・足軽屋敷
d0087325_21562439.jpg 辻番所・足軽組屋敷(旧 磯島家住宅)の保存修理については、彦根市教育委員会文化財課技師で彦根景観フォーラム会員の深谷 覚さんが解説されました。
 この屋敷は、彦根景観フォーラムなどが古民家再生トラストを結成し募金運動を行った後、寄付金を彦根市に寄付して市が買い取り、平成21年2月に市文化財に指定されたもので、現在も修理が続けられています。
 修理は、建築当初の姿に戻すことを基本にされています。辻番所部分は半解体され、足軽屋敷とは接続していなかったことが判明したため道路側からの出入口が復元されました。住宅部分は全解体され、後世の増築であるキッチン、トイレ、風呂は撤去されました。屋根の葺き替えには当初にはない杉板、杉皮張りの補強が加えられ、柱にも必要な耐震補強が行われました。
 さらに、外壁、内壁の白漆喰の下から煤が検出されたことから、外壁は中塗で仕上げられ、内部のトオリニワは荒壁で仕上げられていたと判明し復元されました。
 平成25年度には、室内の壁の中塗仕上げ、建具の設置、西側庭の整備と南側道路との間の高塀の復元などが行われ、いよいよ完成となる見込みです。
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 この建物は、暮らすことを前提としていません。文化財としてどう活用するかが問題となります。
しかし、建物だけでは、当時の人々の暮らしや人生が見えてきません。それを見せてくれたのが、初公開された瀧谷家住宅でした。

初公開・瀧谷家住宅
d0087325_22374765.jpg 瀧谷家は、善利組の隣にあった中藪組に属する足軽屋敷で、安政2年(1855)の「家相図」などの古文書や歴史的工芸品が豊富に伝来しています。当日は、古文書とともに、火縄銃や的、鉄砲を500発撃って命中、外れを記した記録、さらに新式銃の弾丸と火薬をセットして紙で包んだ早盒(はやごう)などが展示されました。


足軽家は相続されたのか?
 中藪組・瀧谷家で新しく発見された資料については、3月17日(日)に足軽組屋敷「太田邸」で開かれた第38回サロンで、彦根城博物館 学芸史料課長の渡辺恒一さんが解説されました。
 瀧谷家は、江戸時代を通じて同じ鉄砲足軽三十人組に属していました。瀧谷家略年表によると、滝谷丞右衛門に「素明き」が下し置かれ、養子で初代の滝谷伴六が享保15年(1730年)に召抱えられます。「素明き」とは、足軽の欠員のことと思われます。ところが、江戸期の7世代のうち、初代から5代までが養子であり、他の足軽組の家の男子や他国の百姓の倅、浪人が瀧谷家を継承しています。相続というより、足軽の地位が株のように譲渡された可能性が高いと言わざるをえません。
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辻番所で好き寄りの宴会?
 「辻番所に好き寄りして酒肴で騒ぎ、無駄づかいをする」。同じ鉄砲足軽30人組に属する8名の足軽が連名した天保11年(1840年)の口上書も瀧谷家から見つかりました。古参の出人(藩の役所や江戸詰に出向した足軽)が、わがまま放題で、当番を新参の者に押し付け、組内の年寄りの指図も手代からの申しつけも聞き入れない。組頭から言い含めてほしい。あわせて、一統に「御直書」を示し引き締めてほしいという内容です。
 口上書からは、辻番所の経費が組の共同負担であること、組内には借金をしている者が多く、破綻した瀧谷家資料からは、足軽組屋敷で生きた人々の人生や経済状態、さまざまな事件などがうかがえ、復元された足軽屋敷にも活かすことができます。
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足軽・辻番所サロンの成果
 足軽・辻番所サロンでは、足軽組屋敷の敷地や建物の特色、そこに暮らした足軽と家族の変遷、家計の状況、足軽の仕事や組織と掟、昭和の暮らしなどを、専門家の協力を得ながら掘り起こしてきました。
 さらに、足軽組屋敷と1間半の路地がつくり出した都市の原風景とも言うべき景観について、現代における価値を再評価し、「路地」を生かしたまちづくりをどう進めるか、その際に課題となる災害に対する備えをどうするか、若者も住みたいと思うコンパクトで人間的な絆が息づくコミュニティをどうつくるかなどを議論してきました。

2つの足軽屋敷から見えてくること
 住むことで再び活かされる吉居家、文化財として過去の人々の暮らしや人生に触れる場に活かされる辻番所・足軽屋敷。2つの実例が生まれたことは、歴史まちづくりにとって大きな一歩といえます。
 どのような形であれ活用されない建物は存続できなくなる。これは経験から得た教訓です。地域に埋没する資源を活用するには、現代、そして未来における意味を発見し、価値を創造することが欠かせません。こうした価値は、見ようとしなければ見えないもので、意識的に行う必要があります。そして、活用によっては人々に感銘を与える地域の宝になり、さらには未来を育てる種になるのではないでしょうか。 (堀部 栄次)
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# by hikonekeikan | 2013-05-28 22:31 | 辻番所・足軽屋敷

談話室「それぞれの彦根物語」2013.2.16

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# by hikonekeikan | 2013-05-07 10:40 | 談話室「それぞれの彦根物語」

4月・5月の彦根景観フォーラム行事のお知らせ

これからの彦根景観フォーラムの行事をご案内いたします。
是非ご参加ください。


◎4月19日(金)19:00〜21:00
 月例会議
 テーマ:①4月20日談話室100回記念イベントについて
      ②平成24年度の事業報告書作成について
      ③その他
 場 所:ひこね街の駅「戦國丸」


◎4月20日(土)10:30〜15:00 
 ひこね街の駅「寺子屋力石」談話室100回記念行事

 10:30〜12:00 談話室「それぞれの彦根物語」 第100回
 テーマまちづくりのかたち
         〜民・官・産・学+子どもたち〜

 語り手:柴田いづみさん(彦根景観フォーラム副理事長)

 
 12:15〜15:00 
    談話室100回記念交流会
  会 費:1000円(食事代・午後の交流会参加者のみ)
  会 場:ひこね街の駅「寺子屋力石」
  ※午後の交流会に出席される方は、事務局 松居 敏彦までご連絡ください。
    hikonekeikan@hotmail.com  TEL 080-1416-5968 


◎4月21日(日)10:30〜12:00 
足軽辻番所サロン「芹橋生活」 
  テーマ彦根藩のさまざまな武士
  語り手:青木俊郎さん(彦根城博物館学芸員)
  会 場:善利組足軽屋敷「太田邸」(芹橋二丁目)
  資料代:100円


◎5月4日(土)9:00〜12:00
 多賀「里の駅」野菜市&集い
  9:00~12:00 地元農家の採りたて野菜の販売
  9:00~10:15 野鳥の森 植物観察会
 10:30~12:00 集い55 (参加費 500円)
  テーマ多賀木匠塾の10年の歩み
  語り手:多賀木匠塾塾長 中西茂行さん(滋賀県立大学非常勤講師)
  試食会:タケノコ料理
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# by hikonekeikan | 2013-04-14 11:06 | お知らせ&NEWS

談話室「それぞれの彦根物語」2013.3.16

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「読んでもらえる文章のつくり方 3つの方法」 をご紹介します。 
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# by hikonekeikan | 2013-03-28 10:04 | 談話室「それぞれの彦根物語」

3月,4月 彦根景観フォーラムの行事

これからの彦根景観フォーラムの行事をご案内いたします。
是非ご参加ください。よろしくお願いいたします。



◎3月15日(金)19:00〜21:00
 月例会議 
場 所:ひこね街の駅「戦國丸」


◎3月16日(土)10:30〜12:00
 ひこね街の駅「寺子屋力石」談話室 それぞれの彦根物語
 テーマ:NPOで学んだ、読んでもらえる文章術
     〜直感にたよらずに文章が書ける3つの方法〜

 語り手:堀部栄次さん(彦根景観フォーラム広報担当理事)


◎3月17日(日)10:30〜12:00
 足軽辻番所サロン「芹橋生活」
 テーマ:新出・中薮組足軽辻番所資料の紹介
 語り手:渡辺恒一さん(彦根城博物館 学芸史料課長)

 会 場:善利組足軽屋敷「太田邸」(芹橋二丁目)
 資料代:100円


◎4月6日(土)9:00〜12:00
 多賀「里の駅」野菜市&集い
  9:00~12:00 地元農家の採りたて野菜の販売
  9:00~10:15 野鳥の森 植物観察会
 10:30~12:00 集い54 (参加費 500円)
  テーマ:「多賀町古代ゾウ発掘プロジェクト」
                   いよいよスタート!

  語り手:阿部勇治さん(多賀町立博物館 学芸員)

  試食会:春の野草を楽しもう


◎4月19日(金)19:00〜21:00
 月例会議
 場 所:ひこね街の駅「戦國丸』


◎4月20日(土)10:30〜15:00
ひこね街の駅「寺子屋力石」談話室100回記念行事
 10:30〜12:00 談話室「それぞれの彦根物語」第100回
  テーマ:未定
  語り手:柴田いづみさん(彦根景観フォーラム副理事長)
 12:15〜15:00 談話室100回記念交流会
  会 費:1000円(食事代・午後の交流会参加者のみ)
  会 場:ひこね街の駅「寺子屋力石」

  ※午後の交流会に出席される方は、3月31日までに事務局 松居までご連絡ください。

  
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# by hikonekeikan | 2013-03-14 22:47 | お知らせ&NEWS

もう一度、彦根城へ行こう

それぞれの彦根物語98

佐和山城と呼ばれた彦根城

                          中井 均  滋賀県立大学准教授
                          平成25年2月16日 ひこね街の駅・寺子屋力石


 ときおり雪が激しく降る朝、彦根市花しょうぶ通りにある寺子屋力石に入ると、暖かい空気と、古民家特有のほの暗さを生かした美しい灯り、それに照らされた絵画が浮かび上がり、ほっとした。さっそくコーヒーを注文して席を探したが、中高年の歴史ファンや大学生、高校生で既に満席だった。
d0087325_111093.jpg この日は、中井均・滋賀県立大学准教授が、彦根城の築城の歴史と城郭としての魅力を紹介された。
 先生は、中世の城館や山城の考古学的研究の第一人者だ。室町末期に勃興した地方領主が数々の紛争をへて戦国大名の体制に編成され、やがて武力統一されて徳川幕藩体制にいたる時代に、各地の山中に築かれ消えていった山城。それを見い出し、測量し、遺構から元の姿を推定して、近世の城郭に至る歴史的価値を解明されている。テンポよく、楽しそうに語られる姿は、まさに「歴史探偵」というにふさわしい。各県の山城の魅力をわかりやすく伝える著書も多数あり、「彦根城を極める」という本も出版されている。
 戦国ブームの今、「旬の人」である。その人と、これほど身近に語れるのは、「それぞれの彦根物語」ならではの魅力だ。


彦根城が佐和山城と呼ばれた?
 中井先生は、まず、彦根城が、佐和山城と呼ばれていた事実を紹介した。佐和山城は、関ヶ原の戦いで徳川方の井伊家には敵であった石田三成の居城であり、関ヶ原の戦いの数日後に落城している。ところが、19世紀の制作とされる「大日本五道中図屏風」では、彦根城を描いたうえに「佐和山城」の名前が書かれている。これは間違いでかたづけられるのだろうか? 謎解きは、物語の最後に用意されていた。


佐和山城から新城築城へ
 佐和山城は、慶長5年の関ヶ原の戦いの戦功により、井伊直政が徳川家康より賜った城である。佐和山城の二の丸には土佐殿丸、三の丸には越後殿丸の名前が残っていて、井伊家の重臣木俣土佐と中野越後の屋敷があったことを示している。つまり、佐和山城は、井伊家にとって重要な歴史の一つなのだ。
 その後、慶長8年(1603年)、彦根山に新城築城が決定する。慶長9年7月1日より第一期普請が始まった。当時は、徳川対豊臣の最終決戦への軍事的緊張が高まりつつあり、豊臣方の大阪城に対する前線基地として築城が大急ぎで行われた。工事は、幕府から派遣された公事奉行により指揮され、7か国12大名が動員される「天下普請」であった。
d0087325_124225.jpg やがて、大阪冬の陣、夏の陣が終わり、平和な時代が訪れる。元和2年(1616年)頃から、第二期普請が行われ、大名井伊家の居城として整備された。天守閣とともに山の上にあった本丸御殿は、麓の表御殿に移された。また、表門も京都、大阪を正面にした京橋口方面から、中山道を正面とした佐和山口方面に変わった。戦争の時代から平和な武家儀礼の時代へと築城方針が転換したのである。


城郭としての魅力と謎
 こうした歴史をもつ彦根城の城郭としての魅力を、中井先生は五つあげた。
 一つめは、山城(軍事的な防衛を目的とする空間)と表御殿(居住、儀礼を目的とする空間)の二つが一緒にある構造である。
 二つめは、巨大な2つの堀切の存在。これは、太鼓丸と鐘の丸の間、西の丸と出曲輪の間にある。
 三つめは、鐘丸(かねのまる)の丸みを帯びた陣地。当時の技術では円形の石垣を作ることは不可能だったが、ここで120度の曲線を描いた石垣をつくることに成功、井伊年譜には「その縄張りは城中第一」と称賛されている。設計者は、早川弥惣左衛門であり武田流築城術の流派とみられる。
 四つめは、5本の登り石垣(竪石垣)と竪堀の存在。これは、豊臣秀吉が朝鮮に攻め入ったとき、朝鮮半島南部に築かれた倭城(わじょう)で初めて造られた、山上と山下を一体化して防御する施設で、日本では他に伊予松山城と淡路洲本城にしかない。 
 五つめは、天守が大津城の材木や瓦を転用していることがほぼ確実になったことである。第一期の天下普請は、急を要する中で行われたため、他の建物や石垣も転用した材料が用いられたと思われるが、どこの何を用いたのかは依然として謎である。特に、石垣は各大名が分担していることから石に大名の刻印があるのが普通であるが、彦根城では一つも見つかっていない。また、佐和山城の石垣を徹底的に破壊して彦根城に転用したと言われるが、佐和山の岩盤はチャートであり、一方彦根城の石垣は、ほぼすべてが湖東流紋岩であって、一致していない。


彦根城の新しい魅力の生かし方
 彦根城といえば、国宝の天守と国指定名勝の玄宮楽々園が観光スポットとして取り上げられてきた。しかし、彦根城の軍事施設としての特徴、政治の場としての特徴もきわめて魅力的だ。中井先生によると、最近になってようやく、石垣や堀切、竪石垣などの土木的な構造や、櫓や桝形などの建築物の機能について一般の人々の関心が寄せられるようになったという。各地の山城をめぐるツアーも、徐々に人気が高まっている。
 ただ、彦根城の場合、城の縄張りや石垣、櫓をめぐるガイド・ツアーは、これからというところだ。「彦根城に来たら、天守閣だけでなく、巨大な堀切と櫓により攻め手を罠にはめ、殲滅しようとする構造にも注目してほしい。だって、天守閣は、藩主も一生に一度登る程度で、実はめったに入らない建物だったのだから。天守閣の廊下が黒光りしているのは、後世、たくさんの観光客によって磨かれたからです。」と中井先生は会場を笑わせた。
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彦根城下町エコ・ミュージアム構想
 天守や庭園、華やかな大名文化へのあこがれの時代から、石垣や堀切、櫓などの城郭プランへの関心の移動、この線をもっと延ばしていくと、城下町の魅力を生かすというテーマにたどりつく。
 彦根は、何もなかった低湿地に新しくつくった都市で、都市計画に身分や経済が組み込まれている。それが現代にまで残っている点が大変珍しい。その魅力に注目して保存と活用をしようというのが、彦根景観フォーラムが提唱する「彦根城下町エコ・ミュージアム」構想だ。
 身分と機能によってエリア分けされた地域ごとにサテライトとなる「歴史的建物」を保存し、その周辺に「発見の小径」を巡らせて、サテライトを移動しつつ、城下町の生活の過去と現在を体感してもらう「生きた城下町博物館」をつくろうという構想である。
 城郭を巡ったら、ぜひ城下町も巡ってみよう。彦根とその周辺は、天守や御殿などの政治的中心部、軍事的な城郭、暮らしと経済が息づく城下町と農山村や漁村、宿場町を配した近世都市構造の典型といってもよい地域である。こうした農山漁村を含めた全体を視野に入れた紹介施設「コア・ミュージアム」も望まれる。しかし、観光の最大の喜びは人と人との交流である。地域の人々の歴史を大切にした生き方がそのまま博物館になる。地元の人の笑顔には、どんなに立派な博物館もかなわないだろう。


歴史は作られる!
 最後は、彦根城が佐和山城と呼ばれた謎解きである。
 中井先生は、徳川将軍の行動を記録した公式記録『徳川実記』などに、将軍が彦根城を訪れた際、頻繁に「佐和山」着と書かれていることを明かした。そして、もう一度「大日本五道中図屏風」を見てみると、美濃加納城が、廃城となったはずの「岐阜城」と書かれているという。つまり、新しい名前はいまだ普及せず、旧名が使われたのだ。おなじような事例では、松本城は深志城、福井城は北ノ庄城と江戸期前半は呼ばれていたという。
d0087325_152040.jpg 何か肩すかしにあったような印象を受けるが、少し考えてみよう。なぜ彦根城の名前が佐和山城ではおかしいと思ったのだろうか。それは、二つの城が敵対関係にあるという思い込みがあったからだ。市民は、石田三成の統治の影を払しょくするため、井伊家が佐和山城を徹底的に破壊し、自らの権力を示す彦根城を築いたという物語をどこかで聞いている。 
 しかし、中井先生によると、井伊直政は家康より佐和山城を賜ったのであり、佐和山城は井伊家にとって吉祥の城なのだ。だから、佐和山と呼ばれても抗議しないし、上野国高崎藩から移転した菩提寺である龍潭寺を井伊家の墓所とせず、清凉寺を佐和山の麓に創建したのだという。
 こうなると、何が正しい解釈かは不明である。ただ、歴史は幻想なしには見られないということは言える。歴史はつくられる。だからこそ物証が必要だ、と先生は言いたかったのかもしれない。


情熱の言葉
 中井先生の話はおもしろい。私たちの無意識の先入観を揺さぶる新しい視点を与えてくれる。しかし、このおもしろさは、それだけではない。
d0087325_154829.jpg 彦根藩が作成した「御城内御絵図」を示しつつ、山裾部を5~7mも垂直に切り落として兵が登れなくした「山切岸」を指して、中井先生は「私はここが特に好きなんです。お城の入場券売り場の横からこの垂直の山切岸をみると、一日見ていても飽きません。私以外は誰も見ていませんが・・。」という。鐘丸では、「普通の観光客は鐘丸に入ってすぐ天秤やぐらの方に行かれる。鐘丸の丸みを帯びた石垣沿いをニコニコして歩いている人を見たら私と思ってください。」といい、大手門から登りの道を経て、桝形の手前からみる天秤やぐらの写真を映写して、「ここが彦根城では一番美しいと思うんです。敵が門を突破して桝形に入ったとたん、天秤やぐらの2階建の窓から一斉に鉄砲で撃つ。そのためだけに作られている。余計な窓は一切ないんです。そんなすごい景色なのに、この電柱と電線が邪魔なんです。市がいずれ、なんとかしてくれると信じていますが。(笑)」という。
 自分つっこみで聞き手を笑わせると同時に、「好き」「美しい」などの情熱あふれる言葉が強い共感を生んでいる。


彦根城の木を切る
 会場からは、質問が相次いだ。その中に、いま、彦根城の石垣の上の木を切り倒しているが、これは石垣を崩れやすくするのではないか。また、長い歴史のある貴重な木を切ってよいのかという質問があった。
 中井先生は、即座に、木の根が石垣を崩す原因になっていると答えた。現在の樹木のほとんどは、明治期以降のもので、江戸期には松以外の樹木はなかったのではないかと思う。市の検討委員会で、生物的に貴重な樹木や生態系上重要な植物を残し、石垣に悪影響を与える樹木だけを切っているので、ご理解いただきたい。桜も昭和12年に植えられたもので、本来城にはなかったと述べられた。
 そういえば、天守閣や天秤やぐら、着見櫓の高い石垣が、市街地からもよく見えるようになった。冬は特によく見える。この機会に、カメラをもって彦根城の城郭としての魅力を体感してみたい。(堀部栄次)

次回は、
平成25年3月16日(土) 10:30~12:00
彦根市花しょうぶ通り 寺子屋力石


「それぞれの彦根物語」99

NPOで学んだ、読んでもらえる文章術

堀部 栄次 彦根景観フォーラム理事、きらっと彦根編集人 

 講師は、このブログを書いている私です。私が、どういう方法で、この文章を作っているのか、3つのポイントをお話しします。いわゆるサラリーマンの私が、NPOの広報担当となり読んでもらえる文章を書くために、試行錯誤したエピソードと、見つけた文章術は、あなたにも参考になると思います。よろしければ聞いてください。
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# by hikonekeikan | 2013-02-28 00:54 | 談話室「それぞれの彦根物語」

彦根景観フォーラム 2・3月の行事予定とお知らせ

◎2月2日(土)9:00~12:00
 多賀「里の駅」野菜市&集い
  9:00~12:00 地元農家の採りたて野菜の販売
  9:00~10:15 野鳥の森 植物観察会
 10:30~12:00 集い52 (参加費 500円)
  テーマ:チェンソーアートから広がる世界 人と人との繋がり
  語り手:喜多 誠さん(高取チェンソーCLUB事務局長)
  試食会:いのしし汁

◎2月15日(金)19:00〜21:00 
 月例会議
 場 所:ひこね街の駅「戦國丸」

◎2月16日(土)10:30~12:00
 ひこね街の駅「寺子屋力石」談話室 それぞれの彦根物語
 テーマ佐和山城と呼ばれた彦根城
 語り手:中井 均さん(滋賀県立大学 人間文化学部 准教授)

◎2月24日(日)10:00~12:00
 足軽辻番所サロン「芹橋生活」
 足軽屋敷を見てみよう!!
 ~足軽屋敷保存修理の事例発表&屋敷公開~

 会 場:四番町ダイニング3F 多目的ホール
 10:00~10:30 吉居家住宅の修理概要について
             建築家・彦根景観フォーラム理事 笠原啓史さん
 10:30~11:00 辻番所・旧磯島家住宅保存修理概要について
          彦根市文化財課・彦根景観フォーラム会員 深谷 覚さん
 11:00~12:00 現地見学会
          四番町スクエア出発~吉居邸~辻番所~太田邸(資料展示)
         ~瀧谷家住宅(初公開・中薮組屋敷・栄町・H24年文化財指定)


◎3月2日(土)9:00〜12:00
 多賀「里の駅」野菜市&集い

  9:00~12:00 地元農家の採りたて野菜の販売
  9:00~10:15 野鳥の森 植物観察会
 10:30~12:00 集い53 (参加費 500円)

  テーマ多賀は魅力いっぱい!
  語り手:繁田 亮さん(東京大学i.school プロジェクトMaru)
      プロジェクトMaruは「イノベーションの学校」東京大学i.schoolから
      生まれた社会的企業「一般社団法人Maru協会」が主宰する、宮城県
      気仙沼市の中長期的な復興支援を目的としたプロジェクトです。
      そのメンバーの一人である繁田君が、お母さんの故郷である多賀町の
      魅力を語ってくれます。
  試食会:春のちらしずし

◎3月16日(土)10:30~12:00 
 ひこね街の駅「寺子屋力石」談話室 それぞれの彦根物語
 テーマ:NPOで学んだ、読んでもらえる文章術
 語り手:堀部 栄次さん(彦根景観フォーラム理事、きらっと彦根編集人)

◎3月17日(日)10:30~12:00
 足軽辻番所サロン「芹橋生活」
 テーマ新出・中薮組足軽辻番所資料の紹介
 語り手:渡辺恒一さん(彦根城博物館 学芸史料課長)
 会 場:善利組足軽屋敷「太田邸」(芹橋二丁目)
 資料代:100円

彦根まちづくり情報誌「きらっと彦根」31号 発行
ご希望の方は、hikonekeikan@hotmail.com までご連絡ください。

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# by hikonekeikan | 2013-02-02 22:12 | お知らせ&NEWS

談話室「それぞれの彦根物語」2012.12.16

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# by hikonekeikan | 2013-01-16 17:57 | 談話室「それぞれの彦根物語」