NPO法人 彦根景観フォーラム

2006.5.20

【彦根物語2】「私の好きな彦根のスポット―春の芹川堤並木と観音山―」 

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金子 孝吉(NPO法人彦根景観フォーラム会員、
滋賀大学経済学部教授、近代文学研究)



「私の好きな彦根のスポット」ということで、今回は、私の住まいのすぐ近くにある芹川堤並木と観音山、それも主としてそれらの春の風景と歴史について話をいたしました。
芹川堤並木は、私が散歩や通勤の際によく利用する道です。この並木は、彦根城築城の折に防護堤用に今の川筋に植えられたものです。通常は「芹川けやき道」と呼ばれており、確かに堂々としたケヤキの巨木が目立ちますが、その他にも、同じニレ科のエノキやムクノキやアキニレの大木、またマメ科のサイカチ、さらにサクラの木も数多く見られます。

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ここは四季それぞれに趣きがありますが、芹川の水面に向かって花を豊かにつけた枝を垂れる‹前座〉のサクラ、また〈主役〉であるニレ科の巨樹たちの初々しい芽吹きと柔らかな新緑、さらには、大木の下に純白のレースのような花を咲かせるシャクや甘い香りを漂わせるナノハナ等の〈脇役〉たちが次々に登場してくる春の季節がもっとも美しいと私は思っています。
談話室では、並木道で見られるムクノキの遠慮がちに咲く可憐な花や、サイカチの幹や枝にある恐ろしい棘とユニークな鞘などについても取りあげ、回を重ねて観察するたびに新たな発見と喜びがある芹川堤並木の魅力を語りました。

さて、私の住まいから歩いて五分ほどのところに「雨壺山」があります。しかし、私たちの町内の住民たちの間では、彦根市街地の真ん中に浮島のように盛り上がっているこの山は「観音山」と呼ばれています。この山の麓には古い歴史を有する神社や寺院がいくつもあります。今回、それらの寺社群のなかから私にとくに馴染みのある彦根神社と長久寺について、その歴史や見所を話しました。

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観音山はまた、私にとっては格好の植物観察のフィールドでもあります。ここはいわゆる「里山」で、落葉広葉樹を主体とした二次林が面積の多くを占めています。昔は薪炭料として利用するために植えられたアベマキやコナラが、今では大きく立派な木に育っています。アベマキのコルクのような樹皮、コナラの英雄然とした枝の広げぶりは、ここを歩く人々の目を引きつけます。それらの木々の生き生きとした新緑の時期はほんの一時(いっとき)のことですが、それらがもっとも美しい姿を見せるときであると私は思っています。その他、同じ落葉樹のムクノキやケヤキも生えており、さらには、もともとこの山に自生していたと考えられるアラカシやタブノキなどの照葉樹の大木も豊富に見ることができます。それらはいずれも高木ですが、それらの陰のなかで頑張って育っているカクレミノやアズキナシ、コマユミなどの木々のことも忘れるわけにはいきません。ことに、同じ木の葉なのに、卵型と3~5裂する葉の2種類の葉をもつカクレミノは、ここの雑木林の中でもとてもよく目立つ木です。
公園として整備されている観音山には様々な種類のサクラやツツジなどが多く植えられていて、それらの花期には、訪れる人たちの目を楽しませています。また、タケノコや豊富な種類のキノコなどの山菜も、市街地の中央にある山としては意外なほど多産です。アケビもあり、秋になると甘い実をつけるだけでなく、春にはその知られざる美しい花を披露しています。
観音山は私にとって、いつでも気軽にでかけることのできる親しい里山であり、このような自然が豊かに残る丘のすぐ近く住んでいる幸運を私はいつも感じています。今回の談話を通して、私が普段から親しんでいる芹川堤並木と観音山の魅力を、聴講してくださった多くの皆さんに伝えることができたとすれば幸いです。

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【キーワード】
芹川 ・ けやき道 ・ エノキ ・ ムクノキ ・ アキニレ ・ サイカチ ・観音山 ・ 彦根神社 ・長久寺 ・ 里山 ・ アベマキ ・ コナラ ・カクレミノ ・ サクラ ・ツツジ 
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by hikonekeikan | 2006-05-20 19:36 | 談話室「それぞれの彦根物語」
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