みなさん、こんにちは。
前回は、彦根市芹橋に残る「辻番所をもつ足軽屋敷」が売りに出され、壊されてしまうのを、なんとか防ごうと、市民60名が発起人となった基金「彦根古民家再生トラスト」が発足し、募金を始めたことをお伝えしました。
足軽屋敷という最下級の武士の居宅が残っていること自体が極めてめずらしいのに、辻番所まであるとは奇跡といっていいと思います。
今回は、この辻番所をもつ足軽屋敷・磯島家について、滋賀県立大学 濱崎一志 教授の研究室による調査結果をお知らせします。この文章を送ってくれたのは、濱崎研究室の亀山芳香さんです。(元気な美しい女性です。)
●足軽屋敷 磯島家 磯島家は、旧芹橋12丁目の中ほどの角地に建つ、典型的な足軽屋敷の一つです。
敷地面積は70坪と他の足軽屋敷に比べてやや大きく、通りに対して平面を見せる平入り(ひらいり)の主屋(おもや)が建っています。主屋の背面に突出する下屋は水屋で、後に増築されたものです。(平面図を参照してください)
表の入口を入ると、玄関があり座敷に直結し、その奥には家人の居室が続きます。質素な造りながらも公私の空間を分けた武士の居宅です。
主屋と通りの間には前栽があり、見越しの松が植えられています。座敷も簡素なつくりで棹縁(さおぶち)天井ではなく「ささら天井」であり、長押(なげし)も廻されていません。居室の上部もその大半がツシとなっています。
●辻番所
磯島家の前庭の南東角には、見張り窓を設けた辻番所と呼ばれる付属屋が建っています。これは、内部から周囲の道を見張るための小窓を持つ構造で、江戸時代の足軽居住区での見張りの機能を現在に伝える貴重な遺構です。現状では畳4枚が敷かれ、端部は板間です。道路側の隅に小さな扉が設けられています。辻番所に辻番に来た人々の入口でしょうか? 辻番所と主屋は動線的には切り離されていた可能性が考えられます。
●彦根古民家再生トラストでは、磯島家を買い取るための募金を受け付けております。
大変ぶっそうな世相ですので、ご寄付いただける方は、下記までご連絡いただきますよう、お願いします。
NPO法人 彦根景観フォーラム 電話0749-27-1141