協働会議からはじめよう!
彦根の「歴史まちづくり」 その1
彦根世界遺産シンポジウム2009
世界の城下町彦根の未来まちづくり
-石見銀山協働会議の事例に学ぶ-
平成21年6月13日、夏川記念館、主催 彦根景観フォーラム
NPO法人彦根景観フォーラムは、平成21年6月13日(土)、午前10時30分から夏川記念館にて彦根世界遺産シンポジウム2009 「世界の城下町彦根の未来まちづくり -石見銀山協働会議の事例に学ぶ-」を開催しました。
午前は、濱崎一志 滋賀県立大学教授・彦根景観フォーラム副理事長が問題提起をした後、大田市教育委員会石見銀山課の遠藤 浩巳氏が石見銀山の普遍的な価値と世界遺産登録に至るまでの取り組みの経過を説明されました。
続いて、石見銀山協働会議世話人(建設会社社長)の波多野 諭氏が、200人の応募者で設立した協働会議の経過や、“石見銀山スタイルのまちづくり”実現に向けた行動計画の作成と現在の取り組みなどを紹介されました。
その後、山崎一眞 滋賀大学教授・彦根景観フォーラム理事長の司会で約100名の参加者と意見交換が行われました。ほとんどの参加者は、石見銀山協働会議の素晴らしい取り組みを初めて知ったため、彦根でこのような協働会議が実現できるかどうかという点に議論が集中しました。
午後は、1時30分にひこね街の駅寺子屋力石に集合し、彦根ボランティアガイドの皆さんの案内で、西覚寺-千代神社-金亀会館(旧彦根藩藩校)-長松院(井伊直政菩提寺)-大信寺-来迎寺-善利組足軽屋敷辻番所-足軽屋敷中居邸-芹川犬走り-芹川けやき道-七曲がり仏壇街-街の駅「戦國丸」を巡りました。 なかでも、千代神社では特別に本殿を公開していただくことができました。
今回は、午前中のシンポジウムの主な内容をお知らせします。
第一部 世界遺産石見銀山に学び、未来を語る
問題提起
「歴史まちづくりから世界遺産登録へ」
濱崎一志 彦根景観フォーラム副理事長・滋賀県立大学教授
彦根城は、平成4年(1992年)世界遺産登録暫定リストに掲載されたが、その後は進展していない。
一方、石見銀山は平成13年(2001年)暫定リストに掲載され、平成19年(2007年)に世界遺産に登録された。国際記念物遺跡会議(イコモス)からは登録延期の勧告を受けたが、補足情報を提出して世界遺産委員会で登録が決定された。
世界遺産は878件(2008年時点)登録されているが、その内訳は文化遺産679件、自然遺産174件、複合遺産25件と、文化遺産の登録数が圧倒的に多い。また、イタリア43件、スペイン40件、中国37件、ドイツ・フランス各33件と多くの登録がされている国がある一方で、1件も登録物件を持たない国が40か国ある。
こうした内容的・地域的な偏りを是正するために、未登録国の物件や文化的景観、産業遺産、20世紀建築などを優先する傾向にある。また、世界遺産は、保全状況をモニタリングしてゆく必要があり、その制約から1500から2000が登録数の限界ではないかと言われている。
このように世界遺産の新規登録は厳しくなっている。
その中で彦根城の世界遺産への登録は、城単独では姫路城の先行事例があり困難とみられ、①城下町彦根で申請する、②姫路城の登録を松本、犬山をふくむ国宝四城に拡大する、③琵琶湖を世界遺産にする運動の一部とするなどの案が出されている。
ただ、どんな形でも世界遺産になりさえすれば、それでいいのだろうか? (つづく)