NPO法人 彦根景観フォーラム

カテゴリ:公開講座( 7 )

フォト・レポート 歴史まちづくりの現状と課題:彦根市芹橋地区 

彦根景観シンポジウム2010 開催にあたって
フォト・レポート 歴史まちづくりの現状と課題:彦根市芹橋地区 

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彦根景観シンポジウム2010   11月23日(祝)  
彦根・芹橋地区のまちづくりを考える
-路地を生かした歴史的まちなみの保存と再生-
第1部 芹橋地区現地視察  11時~12時  四番町スクエア広場 集合 
第2部 シンポジウム      13時~16時  四番町ダイニング3Fホール

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 江戸時代に彦根藩最大の足軽組屋敷があった芹橋地区は、幅員一間半(2.7m)の路地が計画的に作られ、路地に沿って約700戸の足軽組屋敷が整然と配置されて、要所に辻番所、どんつき、くいちがいなどが設置されていました。また、路地に面して土塀が並び、見越しの松が美しく映え、芹川の堤防からは家なみの向こうに彦根城を望むことができました。

 現在これだけの足軽組屋敷が現地に残っているのは、ここ以外にありません。 しかし、この歴史的景観も劣化・改変が進み、最近では、住民の高齢化、空家の増加、老朽化による建替などによって、足軽屋敷は十数件を残すのみとなり、それも次々と壊されて存続の危機に瀕しています。路地も住宅の建て替えなどによりかつての姿を消しつつあります。

 私たちは、歴史的景観の保存と同時に、ここに住む住民や将来の住民である若者にも魅力のあるまちづくりを進める必要があります。
 そこで、シンポジウムの開催に先立ち、芹橋地区の現状を、町並み、路地の景観、交通、コミュニティ、防災の面から写真で紹介します。

芹橋地区の現状と課題:フォト・レポート

1、足軽組屋敷の町並みの現状と課題
(ア)足軽組屋敷
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(イ)老朽化し、空屋になっている。その後、壊され空地となる。
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2010年7月の景観
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同じ場所の2010年11月現在
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(ウ)修理されている足軽屋敷、修理されるのは、ごくわずか。
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(エ)新しい建物への建替。自動車を自宅に駐めることが前提の家。  
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(オ)アパート(集合住宅)、周囲より高層の住宅
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 この結果、家並みの不調和、路地の改変が進んでいる
 
2.路地の景観
(ア)歴史的な路地と土塀の再現
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(イ)様々な塀(ブロック塀、目板塀、生け垣、コンクリート塀)
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(ウ)植栽としつらえ(臥竜の松、見越しの松、しゅろ、まきなど)
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(エ)塀と植栽を持たない・前面駐車の家
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3.路地と交通
(ア)歩行者、子ども、高齢者、猫、自転車、自動車
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(イ)自動車を進入を前提にした住宅の建て方
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(ウ)路地の狭隘化 電柱、排水路などで路地が狭まっている
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4.コミュニティと防災
(ア)消火バケツの常備
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(イ)稲荷を祀る。かつては地蔵さんを借りて地蔵盆をした
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by hikonekeikan | 2010-11-21 09:31 | 公開講座

彦根景観シンポジウム2010 講師の紹介

彦根景観シンポジウム2010   11月23日(祝)  

彦根・芹橋地区のまちづくりを考える
-路地を生かした歴史的まちなみの保存と再生-

第1部 芹橋地区現地視察  11時~12時  四番町スクエア広場 集合 
第2部 シンポジウム      13時~16時  四番町ダイニング3Fホール


彦根景観シンポジウム 講師のご紹介

1,趣旨説明  「求められる芹橋地区のまちづくり」   
 山崎一眞   (やまざき かずま)
d0087325_2204629.jpg     NPO彦根景観フォ-ラム理事長・
     滋賀大学地域連携センター特任教授
 (株)野村総合研究所研究創発センター主席研究員として、横浜の「みなと未来21」や埼玉の新都心計画などに参画し立案・実現を支援した。
 2002年に滋賀大学産業共同研究センター教授に就任、都市計画論、まちづくり論 、観光まちづくり、コミュニティ・ルネッサンス、中心市街地活性化計画など、さまざまなまちづくりに取り組んでいる。

 滋賀県都市計画審議会会長 滋賀県公共事業評価委員会委員、彦根市都市計画審議会会長 東近江市都市マスタープラン策定委員会委員長、NPO法人彦根景観フォーラム理事長、彦根古民家再生トラスト理事長 など

《著書》 「社会実験一市民協働のまちづくり手法」、「地域政策の道標」、「彦根歴史散歩」など


2,基調講演 「路地を生かした歴史的街並みの保存と再生」  
 西村幸夫   (にしむら ゆきお)d0087325_222076.jpg
     東京大学先端科学技術研究センター教授
 我が国の都市景観計画の第一人者。専門は都市計画、都市保全計画、都市景観計画など。
(財)都市づくりパブリックデザインセンター理事、同まちの活性化・都市デザイン競技審査委員長として、本年1月、彦根市芹橋地区を対象としたデザイン競技発表会で基調講演をされ、その後芹橋地区の住民と芹橋のまちづくりをめぐって懇談された。

 日本イコモス国内委員会委員長、文化審議会文化政策部会委員、日本ユネスコ協会連盟未来遺産委員会委員長など多数。
 犬山市まちづくりアドバイザー、豊田市足助まちづくり事業アドバイザー、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」三重協議会専門委員会委員長、石見銀山調査活用委員会委員、富士山世界文化遺産二県学術委員会委員、「平泉の文化遺産」世界遺産登録推薦書作成委員会委員、「武家の古都・鎌倉」推薦書作成委員会委員、(NPO)全国町並み保存連盟理事などとして、日本各地の地域づくりを支援する。

 《著書》 多数。近著に『まちの見方・調べ方-地域づくりのための調査法入門』(平成22年)、『観光まちづくり-まち自慢からはじまる地域マネジメント』(平成21年)、『西村幸夫 風景論ノート』(平成20年)、『証言・町並み保存』(平成19年)、『まちづくり学 -アイディアから実現までのプロセス-』(平成19年)、『路地からのまちづくり』(平成18年)などがある。


3,事例報告1 「路地を生かしたまちづくり」 
 青木 仁    (あおき ひとし)d0087325_2235325.jpg
     滋賀大学客員研究員、
     東京電力技術開発研究所主席研究員
 建設省(現国土交通省)、世界銀行、都市基盤整備公団等勤務を経て、現職。
 本年3月に滋賀大学経済学部において「路地の再生」を基本とした芹橋のまちづくりについて講演を行い、住民の皆さんと意見交換を行った。

《著書》 「まち路地再生のデザイン―路地に学ぶ生活空間の再生術」(平成22年)、「日本型まちづくりへの転換ミニ戸建て・細街路の復権」学芸出版社 (平成19年)、「日本型魅惑都市をつくる」(平成16年)、『なぜ日本の街はちぐはぐなのか』(平成14年)、『快適都市空間をつくる』(平成12年)など。


4,事例報告2  「路地を生かすために」    
 大窪健之   (おおくぼ たけゆき)d0087325_2253245.jpg
     立命館大学総合理工学院・理工学部教授
 専門は、「環境防災設計学」、「文化遺産防災学」。 地域の文化遺産と、それを取り巻く歴史都市の防災計画を主な対象として、地域の水資源を再生し、都市火災に強い木造文化都市づくりを目指す環境防災水利や環境防災建築の設計を研究している。

 兵庫県・篠山市や京都府・美山町、福岡県・吉井町など歴史的町並みの「住民参加を通じた防災計画の提案」、歴史に見る「伝統的な減災の知恵」の抽出と現代での有効性の評価、京都市清水周辺地域等での防災水利設備の計画設計や、コミュニティ防災センサーの開発など、実践的な社会貢献プロジェクトに参画されている。


5,意見交換会 「芹橋地区のまちづくりを考える」  コーディネータ
 濱崎一志    (はまざき かずし)d0087325_2292195.jpg
     彦根景観フォーラム副理事長
     滋賀県立大学人間文化学部教授
 埋蔵文化財や伝統的建造物などの建築史・都市史的研究および地域文化財を活用した保存修景計画を研究。計画策定を迅速におこなうため、CADやGIS(地理情報システム)の利用を進める。
 海外では、イラク・ハムリン盆地の紀元前3000年頃の円形神殿、パキスタン・ガンダーラの仏教寺院址、シリア・パルミラの紀元後2世紀の地下墓などの遺跡の発掘調査と復元を研究。 国内では、平安時代末期の京都白河における条坊地割りの研究や、中世の寺内町の中核をなした山科寺内町、中世後半の集住形態のひとつである構(かまえ)の研究を進める。

 兵庫県出石町、大分県竹田市、彦根、近江八幡市などで伝統的建造物群の調査を実施し保存を支援している。近年は、空家となった古民家の保存・活用や廃村の保存・活用にも取り組んでいる。

 近江八幡市文化財保護審議会委員、滋賀県景観審議会委員、日本イコモス国内委員会理事、彦根市史編集委員会委員、彦根市都市計画審議会委員、特定非営利法人世界遺産ネットワーク代表


 総合司会:  柴田 いづみ   (しばた いづみ)d0087325_22181085.jpg 
     NPO彦根景観フォーラム副理事長
     滋賀県立大学環境科学部教授
 仏政府給費留学生として仏国立建築学校(旧ボザール)卒業。一級建築士、仏政府公認建築家(D.P.L.G)。
 内閣府地域活性化伝道師、文化庁文化審議会専門委員、内閣府中央防災会議専門委員(民間と市場の力を活かした防災力向上に関する専門調査会)、彦根市、近江八幡市、長浜市の都市計画委員会委員、他各種委員会を歴任。NPO東京いのちのポータルサイト理事、防災・耐震・まちづくりフォーラム実行委員長等。

 彦根市の寺子屋力石における木造伝統構法による耐震改修と普及戦略で、第2回耐震グランプリ内閣総理大臣賞を受賞。
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by hikonekeikan | 2010-11-19 22:39 | 公開講座

彦根景観シンポジウム2010 11月23日(祝)

彦根景観シンポジウム2010   11月23日(祝)

  彦根・芹橋地区のまちづくりを考える 
       - 路地を生かした歴史的まちなみの保存と再生 -

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[開催の趣旨】   路地を生かしたまちづくり
 江戸時代に彦根藩の足軽組の屋敷群があった芹橋地区は、現在も数十棟の組屋敷が残され、幅員一間半(2. 7m)の細い路地と、要所要所に「どんつき」 「くいちがい」などが見られる近世都市の原風景がのこる町です。
 この歴史的景観は、もはやどこにも残っていない貴重なものですが、住民の高齢化、空家の増加、老朽化による建て替えなどによって急速に破壊されています。 ここでは、歴史的景観の保存と同時に、住民や若者にも魅力のあるまちづくりを進める必要があります。
 そこで、「路地を生かす」という観点から、彦根市芹橋地区のまちづくりについて、多くのまちづくりに関わって来られた専門家をお招きし、住民、市民の皆さんと具体的に問題点を出し合い、その原因を探って、解決策を語り合います。

主催:彦根景観フォーラム、彦根辻番所の会、滋賀大学地域連携センター

第1部 現地視察 11時~12時
 芹橋地区の路地および足軽屋敷の現状を視察し、どのような問題が起こっているか解説します。
 案内:彦根辻番所の会、彦根景観フォーラム
 集合:四番町スクエア広場 10時30分より受付開始、雨天決行

第2部 シンポジウム 13時~16時 
場所:四番町ダイニング3Fホール
内容:
 1,趣旨説明  「求められる芹橋地区のまちづくり」  
     山崎一眞(彦根景観フォ-ラム理事長.滋賀大学特任教授)
 2,基調講演 「路地を生かした歴史的街並みの保存と再生」 
     西村幸夫(東京大学大学院教授)
 3,事例報告1 「路地を生かしたまちづくり」 
     青木仁(滋賀大学客員研究員、TEPCO主任研究員)
 4,事例報告2 「路地を生かすために」 
     大窪健之(立命館大学教授)
 5,意見交換会 「芹橋地区のまちづくりを考える」 
     コーディネータ:漬崎一志(滋賀県立大学教授)

 総合司会:柴田いづみ(滋賀県立大学教授)

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  最近取り壊され、空地になった足軽屋敷跡(市指定文化財太田邸近隣)

シンポジウム協賛イベント   ( 11月21日(日)~23日(祝))
垂れ幕で土塀の路地景観を再現! 
 
   善利組足軽屋敷公開と路地再発見

彦根市文化財指定の足軽屋敷を公開
               く中居邸、林邸、太田邸、辻番所、服部邸>
垂れ幕による路地景観の再現
               <中居邸・林邸前の路地にて土塀景観を再現(21日~28日)
【催し】
21日 (日)
 中居邸 ①資料展示城下町絵図、町割り図、甲冑、武具) 10:00-16:00
       ②講演   「若者に“まちぐらし”を」     10:30-12:00
               吉田玲奈さん(京都建築専門学校よしやまち研究室)
       ③狂言(演舞) 「それがしは日曜狂言師でござる」  13:00-14:00
               山本豪一(多賀町在住)
       ④たこ焼き屋、こども弓体験 芹橋2丁目第一自治会  11:00-15:30
 太田邸 写真展、現存足軽屋敷の紹介
 辻番所 辻番所公開(玄関庭よりのぞき窓を見学)
 林邸  屋敷公開(玄関内より見学)

22日 (月) 中居邸 エコーメモリアルオーケストラ・サロンコンサート 10:30-11:30

23日 (祝) 中居邸 資料展示  太田邸 写真展示 10:00-16:00

「路地を活かしたまちづくり」について「きらっと彦根10月号」で特集しています。
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by hikonekeikan | 2010-11-15 00:44 | 公開講座

世界遺産をめざす彦根の課題 第1回

あけましておめでとうございます

昨年は、彦根城築城400年祭で、彦根のまちは大いに盛り上がりました。
とくに、市民の皆さんのなかに自分たちのまち彦根を冷静に再評価する機運がうまれ、
実際にまちを見直し、まちを楽しむ人たちが現れてきたことはすばらしいことでした。

 そこで、この機会に「彦根を世界遺産にすることができるか」という壮大なテーマを
考えてみました。
 今回は、彦根のまちをご紹介してみます。きっと目からウロコが落ちる(?)
と思いますよ。次回から世界遺産シンポジウムの様子を載せますので、まずは
準備体操のつもりでお読みください。


 彦根は、400年前に彦根山とその周辺の低湿地に、徳川幕府の天下普請として大
土木工事をおこない、ゼロから新しい町を、当時の理想の都市計画のもとに作った
「幕藩制の理想を体現した近世城下町の完成形」でした。
 そのまちづくりは、戦国時代の戦乱から安定した社会を構築しようとする徳川幕府の
社会づくりの思想を如実に示しています。

 あまりなじみのない考えかもしれませんが、城下町は「武士の容器」でした。
各地にあった城は「城わり」(廃城)され、藩ごとに1つの城しか認められず、
すべての武士はその城下町に住むように封じ込められた、いわば「植木鉢」です。
そして、身分制の頂点である藩主を江戸に集住させてコントロールしたのが
幕藩制でした。
 城下町というと敵の侵入から城主をまもる軍事装置と思われがちですが、近世城下町は
武力をもつ武士にそのような意識を持たせて封じ込めサラリーマン化した巧妙な罠であり、
その表現装置としての性格が顕著にあらわれているのが彦根城下町だと思います。

 こうした仕組みによって徳川幕府が250年以上もの長期にわたり各地に展開した軍事政権
を統治し、平和を維持したということは、「ローマの平和」と比べうる世界史上極めて希なこと
です。その意味で世界史上、貴重な遺産が彦根城下町であると言えると思います。
 しかも、こうした幕藩体制の形成、発展、停滞、破綻、開国、経済の混乱と近代化の跡が、
奇跡のように町のあちこちに残されており、まるで「年輪を積み重ねた」ようなまちであること
が彦根の最大の魅力です。

こうしたまちなかの歴史遺産は、いま破壊の危機に瀕していますが、破壊さえも歴史の年輪
の一部に思えてくるから不思議です。(by EH)


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by hikonekeikan | 2008-01-12 14:29 | 公開講座

古民家調査に参加しませんか

彦根の古民家データは、7,8年前に滋賀県立大学の土屋研究室によって作成され、その時点の古民家の件数や分布が明らかになりました。しかし、その後も古民家の消滅は続いているため、更新が必要です。NPO彦根景観フォーラムでは、この古民家データの利用許可を得、リニューアル(最新化)を行うことにしました。

この古民家データは、地図上の建物に建設時代別に色を塗った形で表現されています。また、一つひとつの建物について、外観、改造の程度などを記載した情報カードがあります。これら情報カードを集計して、概ね古民家が1,000件あることがわかっています。

古民家データをリニューアルするためには、建物一軒一軒にあたり、現在の状況を調査する必要があります。これは相当な力仕事で、多くのボランティアの協力なくしては、到底できません。ご協力いただける方は、是非、事務局へご連絡をお願いします。

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by hikonekeikan | 2006-09-01 22:34 | 公開講座

町家の魅力と町家活用講座

町家活用講座と町家を活かしたまちづくり
彦根の町家を楽しむ、学ぶ、活かす

彦根景観フォーラムでは、失われつつある「町家」を、現代に活用して存続させる方法や事例を市民と一緒に学ぶ「町家活用連続講座」を実際の町家で開催しました。本特集では、町家の魅力と町家活用講座の内容をお伝えします。

第一回 「町家とは、町家を生かす意義」

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●力石邸 彦根市河原町2-3-6(花しょうぶ通り)
力石氏は江戸初期に伊予(愛媛)から彦根藩に来て寺子屋を開いたと伝わる。この建物は、中二階、虫籠窓など江戸期の特色をもち、寺子屋を意識させる間取りが残っている。


●滋賀県立大学 濱崎 一志 教授
濱崎研究室では、杉山邸、吉田邸、田内邸などの実測調査を行い、彦根の町家の構造と特徴を明らかにしている。
 いわゆる重要文化財級ではない民家を残すには、住む人の生活に合わせた改造が必要であり、そのためにも、きちんと実測・記録し歴史的価値を評価して、老朽部分を改修する。古民家とその環境を考えて用途を選ぶことも大切で、鳥居本では、高齢者ディケアセンターに活用している。



第二回 「町家の新しい住まい方」

d0087325_22153492.jpg●芹組中居邸(善利組足軽屋敷)彦根市芹橋2-2-32
切妻作り桟瓦葺で、規模が小さくても武家屋敷の体裁をとった構成である。前面に木戸の門構えと目板瓦葺の塀をかまえ、主家の入口が直接道路に接することがない。この結果、道の両側に木戸門と目板瓦葺の塀、主屋の壁面が連続し、防衛を重視した固有の景観が形成された。


●日本女子大学 小谷部 育子 教授
東京世田谷の松蔭コモンズは,築150年の大きな木造家屋で、5年の期限で小谷部教授らのNPOが借上げ、月4、5万円で7人に賃貸している。風呂やトイレは共用、買い物や掃除は当番制、食事は各自がまかなう。
この取り組みは、壊したくはないが管理できないという家主の思いと借り手の間にNPOが介在し、古い建物を守り活用できた好事例である。彦根でも、町家を壊すのではなく、NPOが家主と住みたい借手を結び地域の人々との関係も結ぶことで、古民家を存続できるのではないか。


第三回 「町家の魅力ある使い方」

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●芹組太田邸(善利組足軽屋敷)彦根市芹橋2-4-56
幕末の建築と見られる。接客間である「ざしき」が最も大きく、日常の入口の他に客人用の「げんかん」として2畳間があり、客人はこの間を通ってざしきに入る。2畳間には床棚が作られ、武家らしい形式を残している。


●滋賀大学産業共同研究センター 岡野 睦 客員研究員
町家をお荷物と感じる原因は、古さより、住みにくさ、不便さである。町家の「暗い」を解決するには、天窓や中庭を設ける方法がある。「汚い」には、キッチン、風呂、便所などを抜本的に改修する。また、「寒い」には、屋根、床に断熱材を使用する。
丸太を見せた勾配天井の美しい洋間に改装したり、蔵を、茶室、書斎、音楽室に改装して楽しむ事例もある。
町家は現在の消防体制からみると十分な防火性能がある。また、軸組み構造を壊さないように改修すれば十分な耐震性を持つことができる。


第四回 「町家の再生」

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●旧廣田邸 彦根市城町1-7-14(下魚屋町)
 旧町名の「下魚屋町」、「上魚屋町」の中でも群を抜いた大きな屋敷で、廣田氏は豪商で文化人であったとされる。
昭和52年に彦根市の文化財に指定された。奥に長い敷地に平入りの主屋、庭園、茶室があり、主屋は、2間づつ3段の間取りである。


●建築家 計画工房 戸所 岩雄
 七曲りで町家を改装して住みたいという若い夫婦は、彦根のおばあさんの文化が素敵だという。戸所氏は、町家を再生するほうが、費用対効果でも新築に勝るという。
戸所氏の再生した多くの町家をみると、とてもクリエイティブで、モダンで、ユニバーサルデザインに通じるものを強く感じる。古いものの中にある魅力を引き出し、より美しく、かつ個性的な「住まい」に仕上がっている。


第五回 「町家を生かしたまちづくり」

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●城一会館 彦根市城町1-2
戸所氏が再生した町家のひとつ。城町の自治会館として使われている。中庭を設けて明るい室内を実現した。独特の落ち着いた雰囲気と整然とした美しさをもつ。古い建物の魅力と現代的な合理性、使いやすさが見事に調和している。


●滋賀大学 山崎 一眞 教授 
彦根の古民家は、花しょうぶ、七曲り、芹橋、魚屋町、本町・寺町、立花町、船町、水主町に点在し、人口減少、高齢化で、空き家が増え、維持できなくなっている。
すばらしい古民家を保存し、利用・活用することを通じて「彦根らしいまちづくり」を実践したい。まず、市民が、①楽しみながらまちを知り、②学びを通じてまちの魅力を再発見し、③情報を集めて知恵を出す取り組みが大切である。そして、④市民参加で古民家データを最新化し、情報バンクをつくる。⑤大学等を活用し、古民家を実測する。⑥古民家の利・活用の相談を行う。⑦ブロック塀を板でおおうなど地域固有の景観を整える。⑧地域ごとに町家の活用タイプを想定し、拠点となるまち博物館を作る。⑨まち博物館をつないで、ネットワークによる彦根城下町博物館とする。町家を住宅あるいは他の施設に活用し(賃貸住宅、学生寮、福祉ホーム、デイサービス、集会所等)、公開してもよいという町家、足軽屋敷の所有者がネットワークを組んで限定公開する。見学希望者に対し見学ルートを設ける。⑩NPOが調整役として支え、つなぐ。地域にまちづくり懇談会をつくり、住み手と貸し手、地域住民、見学者を調整し、よりよいまちづくりを支援する。⑪行政に提案し協働する。既存の良い建物を守り、悪い景観を直す。新しく良い景観を創り、悪いものを防ぐ。景観法などを活用し、保存と活用と創造のメリハリをつけることで、「近世城下町の完成形」である彦根を、「世界遺産」にふさわしい都市にすることができる。
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by hikonekeikan | 2005-09-01 20:07 | 公開講座

街の駅「寺子屋力石」 あなたならどうする?

街の駅「寺子屋力石」 オープン

NPO彦根景観フォーラムでは、さる5月21日、河原町にある町屋「寺子屋力石」の公開実測を実施しました。
「力石」は花しょうぶ通りの中央に位置し、江戸時代は寺子屋として活用されていた歴史ある建物です。一時、駄菓子屋、レコード店として利用されていましたが、現在は活用されず、持主も住んでおられません。
 私たちNPOでは、実測をもとに、この建物を活かしながら再生させるため、地域住民・商工会議所・大学・学生と実行委員会を組織し、再生法を模索しています。「街の駅」構想もその一つで、将来的には各町にという思いもあります。しかし、ありきたりのことでは永続的な運営はできません。皆さんの様々な角度からのアイデアを募集しています。

d0087325_22354359.gifNPO彦根景観フォーラムでは、5月に公開実測を実施したのち、「街の駅」実行委員会を組織し、この建物の再生法を模索してきましたが、このたび10月中旬にオープンする運びとなりました。当面、商店街の活性化塾・子供塾・地域住民塾(サークル等)の場を中核として、ギャラリー・地域住民の憩いの場・観光客の中継スポット・河原町何でも資料館としてのプログラムを準備しています。最大の悩みは、ボランティアの確保です。資料の提供・発掘や後世に伝えたい技や文化を伝えたい方、河原町小咄などの話題のご披露お願いできる方、そして「街の駅」の世話方を募集しています。是非、皆さんのご協力をお願いします。

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街の駅「寺子屋力石」 オープン

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改装工事風景

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にぎわいの力石

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オープン前の力石

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オープンテープカット
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by hikonekeikan | 2005-05-21 22:37 | 公開講座