NPO法人 彦根景観フォーラム

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町家の魅力と町家活用講座

町家活用講座と町家を活かしたまちづくり
彦根の町家を楽しむ、学ぶ、活かす

彦根景観フォーラムでは、失われつつある「町家」を、現代に活用して存続させる方法や事例を市民と一緒に学ぶ「町家活用連続講座」を実際の町家で開催しました。本特集では、町家の魅力と町家活用講座の内容をお伝えします。

第一回 「町家とは、町家を生かす意義」

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●力石邸 彦根市河原町2-3-6(花しょうぶ通り)
力石氏は江戸初期に伊予(愛媛)から彦根藩に来て寺子屋を開いたと伝わる。この建物は、中二階、虫籠窓など江戸期の特色をもち、寺子屋を意識させる間取りが残っている。


●滋賀県立大学 濱崎 一志 教授
濱崎研究室では、杉山邸、吉田邸、田内邸などの実測調査を行い、彦根の町家の構造と特徴を明らかにしている。
 いわゆる重要文化財級ではない民家を残すには、住む人の生活に合わせた改造が必要であり、そのためにも、きちんと実測・記録し歴史的価値を評価して、老朽部分を改修する。古民家とその環境を考えて用途を選ぶことも大切で、鳥居本では、高齢者ディケアセンターに活用している。



第二回 「町家の新しい住まい方」

d0087325_22153492.jpg●芹組中居邸(善利組足軽屋敷)彦根市芹橋2-2-32
切妻作り桟瓦葺で、規模が小さくても武家屋敷の体裁をとった構成である。前面に木戸の門構えと目板瓦葺の塀をかまえ、主家の入口が直接道路に接することがない。この結果、道の両側に木戸門と目板瓦葺の塀、主屋の壁面が連続し、防衛を重視した固有の景観が形成された。


●日本女子大学 小谷部 育子 教授
東京世田谷の松蔭コモンズは,築150年の大きな木造家屋で、5年の期限で小谷部教授らのNPOが借上げ、月4、5万円で7人に賃貸している。風呂やトイレは共用、買い物や掃除は当番制、食事は各自がまかなう。
この取り組みは、壊したくはないが管理できないという家主の思いと借り手の間にNPOが介在し、古い建物を守り活用できた好事例である。彦根でも、町家を壊すのではなく、NPOが家主と住みたい借手を結び地域の人々との関係も結ぶことで、古民家を存続できるのではないか。


第三回 「町家の魅力ある使い方」

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●芹組太田邸(善利組足軽屋敷)彦根市芹橋2-4-56
幕末の建築と見られる。接客間である「ざしき」が最も大きく、日常の入口の他に客人用の「げんかん」として2畳間があり、客人はこの間を通ってざしきに入る。2畳間には床棚が作られ、武家らしい形式を残している。


●滋賀大学産業共同研究センター 岡野 睦 客員研究員
町家をお荷物と感じる原因は、古さより、住みにくさ、不便さである。町家の「暗い」を解決するには、天窓や中庭を設ける方法がある。「汚い」には、キッチン、風呂、便所などを抜本的に改修する。また、「寒い」には、屋根、床に断熱材を使用する。
丸太を見せた勾配天井の美しい洋間に改装したり、蔵を、茶室、書斎、音楽室に改装して楽しむ事例もある。
町家は現在の消防体制からみると十分な防火性能がある。また、軸組み構造を壊さないように改修すれば十分な耐震性を持つことができる。


第四回 「町家の再生」

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●旧廣田邸 彦根市城町1-7-14(下魚屋町)
 旧町名の「下魚屋町」、「上魚屋町」の中でも群を抜いた大きな屋敷で、廣田氏は豪商で文化人であったとされる。
昭和52年に彦根市の文化財に指定された。奥に長い敷地に平入りの主屋、庭園、茶室があり、主屋は、2間づつ3段の間取りである。


●建築家 計画工房 戸所 岩雄
 七曲りで町家を改装して住みたいという若い夫婦は、彦根のおばあさんの文化が素敵だという。戸所氏は、町家を再生するほうが、費用対効果でも新築に勝るという。
戸所氏の再生した多くの町家をみると、とてもクリエイティブで、モダンで、ユニバーサルデザインに通じるものを強く感じる。古いものの中にある魅力を引き出し、より美しく、かつ個性的な「住まい」に仕上がっている。


第五回 「町家を生かしたまちづくり」

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●城一会館 彦根市城町1-2
戸所氏が再生した町家のひとつ。城町の自治会館として使われている。中庭を設けて明るい室内を実現した。独特の落ち着いた雰囲気と整然とした美しさをもつ。古い建物の魅力と現代的な合理性、使いやすさが見事に調和している。


●滋賀大学 山崎 一眞 教授 
彦根の古民家は、花しょうぶ、七曲り、芹橋、魚屋町、本町・寺町、立花町、船町、水主町に点在し、人口減少、高齢化で、空き家が増え、維持できなくなっている。
すばらしい古民家を保存し、利用・活用することを通じて「彦根らしいまちづくり」を実践したい。まず、市民が、①楽しみながらまちを知り、②学びを通じてまちの魅力を再発見し、③情報を集めて知恵を出す取り組みが大切である。そして、④市民参加で古民家データを最新化し、情報バンクをつくる。⑤大学等を活用し、古民家を実測する。⑥古民家の利・活用の相談を行う。⑦ブロック塀を板でおおうなど地域固有の景観を整える。⑧地域ごとに町家の活用タイプを想定し、拠点となるまち博物館を作る。⑨まち博物館をつないで、ネットワークによる彦根城下町博物館とする。町家を住宅あるいは他の施設に活用し(賃貸住宅、学生寮、福祉ホーム、デイサービス、集会所等)、公開してもよいという町家、足軽屋敷の所有者がネットワークを組んで限定公開する。見学希望者に対し見学ルートを設ける。⑩NPOが調整役として支え、つなぐ。地域にまちづくり懇談会をつくり、住み手と貸し手、地域住民、見学者を調整し、よりよいまちづくりを支援する。⑪行政に提案し協働する。既存の良い建物を守り、悪い景観を直す。新しく良い景観を創り、悪いものを防ぐ。景観法などを活用し、保存と活用と創造のメリハリをつけることで、「近世城下町の完成形」である彦根を、「世界遺産」にふさわしい都市にすることができる。
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by hikonekeikan | 2005-09-01 20:07 | 公開講座