NPO法人 彦根景観フォーラム

<   2006年 07月 ( 3 )   > この月の画像一覧

築城400年祭《談話室》 それぞれの彦根物語 2006.7.29

【彦根物語9】
 「伝統木造建築と私」
-彦根とその周辺での文化財修理、社寺建築工事に携わって-
f0017409_16534290.jpg


西澤 政男
(NPO法人彦根景観フォーラム会員、
日本伝統建築技術保存会会長
㈱西澤工務店代表取締役、
(社)滋賀県建築士会幹事)




彦根周辺には、文化財建造物や多くの素晴らしい古建築が現存していますが、これらを良好な状態で次世代に引き継ぐことは、祖先からの文化を子孫へ継承する為に大変重要なことであります。それらの修復工事のいくつかに参画できた事は、彦根の大工の家に生まれ、伝統建築を志す私にとっては大変幸運なことで、正に本望でありました。その時の写真等をご覧頂き、工事中の建物の表情や、日頃見えない部分等から古人の知恵や苦労・情熱等を少しでも理解し、改めて古建築に対する愛着の念を増幅頂けたら幸いです。
 また、このような機会を多くの方々と共有することに依り、今、正に消えようとしている伝統建築技術の保存・継承を支援する輪が拡がって行くことを願って居ります。

【彦根とその周辺での仕事】
f0017409_1655046.jpg


















■修理前■
f0017409_1659335.jpg












【市指定文化財 大津地裁彦根支部 長屋門・高麗門 解体修理工事】
■修理後■
f0017409_170474.jpg












■修理の過程■
1.素屋根建設
f0017409_1731325.jpg
2.解体調査 
垂木・野地板まで煮炊きのススで真っ黒
(明治以降の取替材ではない)・・・当初材
f0017409_1754651.jpg









3.解体調査 現状垂木の止め釘以外に釘穴はなし 
         (創建以来垂木の打替えは無い)
f0017409_1775371.jpg
4.解体調査 
全ての記載番付、方位が90°振れている
全ての部材が当初材
f0017409_1792193.jpg









5.解体調査 寛保2年(彦根大火の翌年)の墨書銘有り
         庵原家の家臣の墨書名有り
f0017409_17104232.jpg
6.発掘調査 
下の層より西郷家の紋入り瓦現出
f0017409_17124956.jpg









7.発掘調査 西郷家時代の土間叩き仕上げ 現出
f0017409_17133043.jpg
8.部材修理
f0017409_17135483.jpg









9.部材修理 根継
f0017409_17142722.jpg
10.基礎石積替
f0017409_1715114.jpg









11.柱脚同寸の箱で自然石の凹凸を写し、柱脚に転写する
f0017409_1716139.jpg
12.修理完成後 古色塗り
f0017409_17163066.jpg









13.組立 野物(見えない部分)は全て新材に取替え
f0017409_17173885.jpg
14.組立 
採用に耐えない化粧材(見える部分)も新材に取替え
f0017409_17182932.jpg









15.組立 軒先部分 竹小舞下地に上塗り
f0017409_17193617.jpg
16.左官工事 カベ中塗り、軒先成形
f0017409_17201967.jpg









17.左官 漆喰上塗り
f0017409_1720503.jpg
18.土間叩き仕上げ
f0017409_17211382.jpg









19.素屋根解体
f0017409_17214115.jpg

     キーワード
      1.文化財の維持
      2.古建築の保存
      3.伝統建築技術の保存・継承
      4.日本文化の継承
[PR]
by hikonekeikan | 2006-07-29 10:37 | 談話室「それぞれの彦根物語」

築城400年祭《談話室》 それぞれの彦根物語 2006.7.22

【彦根物語8】
「ヴォーリズ建築と再生」
f0017409_10485716.jpg




伴 政憲
(NPO法人ヴォーリズ建築保存再生運動一粒の会 会長)

 


 私たちは、約10年前から有志により空家となっていた旧八幡郵便局の再生を目指し、活動を始めました。最初は、掃除から始めました。異臭が漂い、ほんとに濁った空気の中での作業でした。しかし、作業に来た者は黙々といらないものを外へと運び出しました。今ようやくたくさんの方々の手や資金により、甦りつつある状態です。

f0017409_111820.jpgf0017409_1113363.jpg










なぜ今、再生活動することが必要なのか?
ヴォーリズ先生は、何事も相手の気持ちに立ち、心を込めて行動・活動をされ、社会
に貢献されてきました。今残っている建物を見ること、そして触れることによりその心がこもっていることに気づかされます。今これら心のこもった建物が壊されないうちにやらなければなりません。建物の再生活動をすることにより、ヴォーリズがやろうとしてきたことやヴォーリズの精神を理解し、伝えていきたいと思っています。今忘れがちな相手の気持ちに立つこと、社会の中で何ができるか自分達自信が気づくこと、そういった気持ちを持てるように発信をしていかなければならないなあと思いながら、お話をさせていただきました。 
彦根でも滋賀大学旧外人教師宿舎を残し、市民活動センターとして使用していらっしゃいます。これらも当初より残そうと熱い気持ちを持っていただいていたからこそ、残せたのだと思います。今はたくさんの方がそのヴォーリズ建築に参集いただいているようです。たいへん嬉しく思います。ただ単に建物を残すだけということが大切なことであるとは思いません。その残そうとする本質や気持ちが大切なことであるように思います。またみなさんと一緒に勉強させていただきたいと思います。

f0017409_1285542.jpg














f0017409_11501080.jpg










キーワード
・ヴォーリズ
・旧八幡郵便局
・再生
・こころ
・外人教師宿舎
・市民活動センター
・一粒の会
[PR]
by hikonekeikan | 2006-07-22 12:15 | 談話室「それぞれの彦根物語」

築城400年祭《談話室》 それぞれの彦根物語 2006.7.15

【彦根物語7】
 「白露庵見学 茶室と茶庭」
f0017409_10292928.jpg


川嶌 順次郎
(井伊直弼一会流樹聖会、京都女子大学講師)





大久保邸にある井伊藩家老脇家が建立の茶室が見事に修復され、じっくりと見学させていただいた。直弼茶道を学んでいるということで説明を請け負ったのだが、本来茶室も茶庭も、草庵式か書院式かの二様に分かれると言われる。茶室だけでなく鎖の間あり、書院之間ありとなると、織部や遠州が創意を尽くした書院式となるが、白露庵は正にそれである。織部風の茶室では京都の藪の内家の燕庵が代表的とされるが、それ以上に技巧的だと思われる。建物の構造にも窓にも、更には床にまで鋭角のラインが随所に見られるのには驚きである。鶴ヶ城の茶室麟閣と日本に二つしかないと言われるのはこれを指すのだろうか。それにしても直弼は、逆に徹底して草庵の茶を追及した人だから、彼が渾身の茶室を作っていたら、白露庵とは対極の草庵式茶室の見事なものが生まれ、白露庵とともに彦根の二大名茶室となったかも知れない。

大久保昭教さんによるお庭の説明と見学
f0017409_1031119.jpg










白露庵
f0017409_10321637.jpg














にじり口
f0017409_10361778.jpg













茶室
f0017409_10382994.jpg














書院の間
f0017409_10391324.jpg













【キーワード】
脇家と高源寺
井伊藩の茶系
草庵式と書院式
井伊直弼の茶の湯
修行得道としての茶道
白露庵と麟閣
[PR]
by hikonekeikan | 2006-07-15 18:43 | 談話室「それぞれの彦根物語」