NPO法人 彦根景観フォーラム

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談話室「それぞれの彦根物語」での出会い

それぞれの彦根物語57
彦根景観フォーラムの400年祭(2) 2008.12.20

  「それぞれの彦根物語」は、彦根景観フォーラムが寺子屋力石で2006年5月13日に開催して以来、今回で58回目を迎えた。この日は、「彦根景観フォーラムの400年祭」の第2回目として、56回までの「それぞれの彦根物語」を振り返る試みが行われた。

語り部達の「それぞれの彦根物語」
 配られたリストには56回の語り部とテーマが、歴史、文化、自然、建築、観光、400年祭と大きく分けられ、さらに歴史は井伊直弼、江戸期、製糸産業、パーソンズなどに、文化は絵と写真、教養、体験、ボランティアに、観光は女将、経営、商店街、新コースに、400年祭は催しとサポートと分けられていた。その区分に従って、コーディネーターが各回の語り部と内容を1枚にまとめたスライドを紹介し、みんなで思い出や感想を語り合った。

 語り部ご自身もかなり参加されており、「わくわくして発表の準備をした」、「勉強が楽しかったのは生まれて初めて」、「発表予定者が病気で急遽ピンチヒッターにたった」など発表までの苦労話(?)や思いがけない後日談が飛び出して、会場は大いに盛り上がった。
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篤姫と井伊直弼  「それぞれの彦根物語」の楽しみ方
 語り部とテーマ、参加者の話などはあまりにも多いので省略するが、私にとって、56回の「それぞれの彦根物語」は、すべてが新鮮だった。

 第1回目の滋賀大学の阿部先生の話から感嘆させられた。「その後の直弼:20世紀に生きた郷土の偉人」というユニークなテーマで、井伊直弼に「開国の英傑」と「天皇に背き反対派を弾圧した暴君」という正反対の評価を向けた20世紀日本社会を照らし出すという試みで、大胆な発想に感心した。
 今年はテレビドラマ「篤姫」で井伊直弼が篤姫と茶席で語る場面があり、今の時代を照らす鏡としての直弼像が見られて大変おもしろかった。歴史は今を照らす鏡だと気づいた。これも「それぞれの彦根物語」のおかげだ。

私の「それぞれの彦根物語」
  「それぞれの彦根物語」によって、彦根の秘められた歴史や自然、魅力的な人物や市民活動についての知見が増えただけではない。私にとっては、自分の感性が徐々に磨かれていった実感がうれしい。芹川のケヤキ並木や小さな花の美しさに気づき、素晴らしい画家や音楽家、建築家、文学者、経営者や若い起業家、学生達やボランティアの人たちの思いにふれて、町の息づかいや流れる空気、自然の奥深さに心が開いていくような感覚を味わうことができた。

 世界が変わったのではない。自分が変わったのである。多くの素晴らしい語り部に接することから私が得たものは、「見える化」と「自分化」というキーワードだ。見えないものを見えるように表現すること、そして自分に思い切り引き寄せて考えることが大切と思うようになった。
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「それぞれの彦根物語」で得たもの 
  「まちなかギャラリー実働80日」の語り部、角さんが述べられた感想が印象的だった。
 角さんは普通の市民だ。定年退職後何かしたいと思い、妻の父が残した絵と彦根の画家達のコレクションを展示してみたらどうかと思い立つ。そして、「それぞれの彦根物語」に参加して頑張っている人達を知り、自分の思いを話してみた。すると、たちまち賛成してくれて励まされ、自分が元気になった。古い町家の戸をあけ、銀座商店街の協力をえて80日間のまちなかギャラリーを開いて、たくさんのお客さんを迎えることができた。自分にとっては楽しく大きな一歩だったと。

 人は誰もが、キラキラと輝くダイアモンドの原石を持っている。人と人とがつながり合い、思いを共有し、励まし合い、磨いてゆくことでその輝きはさらに増す。「それぞれの彦根物語」は私にそんなことを教えてくれた。

メルビル先生のこと
 最後に、「青い目で見る彦根:30年以上彦根に住んでいる経験」というテーマで話された滋賀大学のメルビル・ハロルド先生が、その後お亡くなりになったという報告があった。

 30年前から現在までの変化を見続けた外国人として、町並みの無秩序な崩壊を残念がっておられた。また、滋賀大学講堂を保存すべくロナルド・キーン博士を招待して大学幹部を説得したことも明らかにされた。その甲斐あって講堂は保全・修復され、今でも使われている。
 心からご冥福をお祈り申し上げたい。                   (By E.H)
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by hikonekeikan | 2008-12-27 16:23 | 談話室「それぞれの彦根物語」

 「彦根あそび博」の発想・仕掛け・企画・実行

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彦根景観フォーラムの400年祭(1)  2008/12/15

 彦根景観フォーラムが寺子屋力石で開催している談話室「それぞれの彦根物語」では、「400年祭を振り返る」と題して、市民創造事業で自ら手を上げて活躍された人々を紹介してきた。今回は、その最後として、彦根景観フォーラム自身が、自らの「400年祭」を振り返る第1回目である。「彦根遊び博」の発想、仕掛け、企画、実行を会員の皆さんが発表された。
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「450年祭の彦根」からの発想 
 2006年1月、彦根景観フォーラムは、「彦根城築城400年祭」の事業アイデアを会員に募集し、ある会員から「遊び博」の提案を受けた。2006年は「長崎さるく博」というまち歩き博覧会が開催された年だ。「さるく」とは「ぶらぶら歩く」という意味の方言で、長崎ならではの歴史や風物、隠された謎を「さるくガイド」が案内するというもので、これを参考にした企画だった。

 しかし、その発想は、「450年祭の彦根」を考えるという、極めてユニークなものだった。
d0087325_22553888.jpg50年後の彦根はどうなっているだろうかと考えるとき、彦根城は残されても、城下町は消滅していると考えるのが普通だ。事実、わずか数年で芹橋の足軽屋敷や古い商家が壊され、空き地になった。近代和風の傑作建築である和光会館や、近江絹糸、鐘紡などの近代化遺産も跡形もなく消滅した。
 その後には、どんなまちが残るのか。東京や京都に追従しているように思えるが、すでにこれらの都市は限界が見えている。彦根は、彦根らしい独自性を生かした都市を創造すべきだという発想である。


50年後に「なりたい彦根」は? 
 彦根景観フォーラムは、「なりたい彦根」の理想像を「年輪を積み重ねるまち」、「過去とともにある未来の創造」、「過去から未来をつむぐ街」と表現している。これは決して観念的なものではなく、多くの人達の気持ちを確かめた結果だ。モデルは、フランスのシノン、イタリアのボローニア、ドイツのドレスデン。これらの都市は、歴史再生で経済や文化が活性化している「世界遺産ブランド」だ。歴史と文化が、まちなか居住、まちなか観光を促進し、地域経済を支えている。
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 彦根景観フォーラムでは、古くて美しい創造的な生活が営まれる歴史再生都市・彦根をめざして、戦略目標として「世界遺産登録」を設定していた。そこに、世界遺産への第1歩として提案された「彦根遊び博」は、彦根を屋根のない歴史博物館・彦根エコミュージアムにする実験を、市民とともに進めようとする大胆な提案だった。


「彦根あそび博」の仕掛け・企画
 その仕掛けの第1は「見える化」。埋もれている彦根の城下町遺産、近代化遺産を発見し、市民や観光客に見えるように構成する「まちあるきツアー」を実施することだ。
 第2の仕掛けは「心のスイッチを入れる自分化」。市民プロデューサーを募集して養成し、自分事として「まちあるき」を楽しむ創造的な市民を発掘すること。d0087325_2258530.jpg
 これらを通じて、市民創造事業の仕組みをより強化し、市民プロデューサーによって、地元の人しかわからない「通」なまち遊びを作り出し、多くの人が楽しみながら、街の魅力を発見する狙いだった。

 こうして、市民プロデューサー養成講座、市民プロデューサーによる「通」な街歩きコースの開発、4つの古民家などを活用したサテライト・パビリオン(寺子屋力石:それぞれの彦根物語館、埋木舎:井伊直弼青春物語館、七曲がり仏壇店:彦根匠の技館、元風呂屋:石田三成物語館)などが提案されたが、一NPO法人では実行力が不足なのは明らかだった。


企画の修正と実行
 柔軟な議論のなかで、彦根ならではまち遊びの発見を「それぞれの彦根物語」という談話室を開催して取り組み、談話室の話題を再構成し、話題提供者に案内人になってもらって彦根遊び博を開催することになった。
 2006年5月、談話室「それぞれの彦根物語」がスタート。2006年11月23日に「プレ彦根あそび博2006」を3コースで開催。そして、本番の2007年春と秋に「それぞれの彦根物語」の蓄積を活かした11のコースで合計16回のまち歩き博覧会を実施した。
 今から振り返ると、当初の企画の「石田光成物語館」が「戦国丸」として実現していたり、ガイドブックが「彦根歴史散歩」として刊行されるなど、本当に不思議な現象が起こっている。


知恵と善意が集まるNPO

 この日は、「芹川堤の自然と遊ぼう」、「雨壷山の歴史・自然と遊ぼう」、「脇街道・七曲がりで遊ぼう」、「高宮宿で遊ぼう」、「善利組屋敷界隈であそぼう」、「内曲輪・城郭で遊ぼう」、「天寧寺で遊ぼう」、「佐和山周辺で遊ぼう」、「鳥居本宿で遊ぼう」の各コースの概要と写真が参加者からスライドで紹介された。
 どのコースも、詳細にみると会員を含めて多くの人たちの協力で実現していることがわかる。まちあるきの先頭に立って地域の暮らしや歴史、川や植物などをガイドしてくださった方。未公開の社寺や建物、自宅や作業場をみせていただいた人達。さらには、お茶席を設けていただいたり、私蔵の絵画や書を展示していただいたりした。遠くの友人を誘って参加していただいた方もある。これらの人々をつなぎ、丁寧な案内資料を作って「楽しいまちあるき」をプロデュースした会員の皆さんの力も目を見張るものがある。

 なぜ、このようなことが起こるのだろうか。d0087325_2249432.jpg
 その根底には「彦根を愛し、よりよくしたい」という人々の純粋な気持ちがあると思われる。400年祭は、その思いを市民創造事業の公募という仕組みですくい上げた。同じ思いがNPOにも向けられ、多くの人たちの知恵と善意が集まったのだ。
 よくNPOには金はないが知恵があるといわれる。しかし、より正確には、多くの人々の様々な知恵と善意がNPOに集まって、力となり勇気となって行動につながるのではないだろうか。

 「彦根あそび博」最終回は、善利組足軽屋敷を巡るコースとなった。そこで、初めて消滅の危機にあった辻番所・足軽屋敷が公開され、その後、辻番所・足軽屋敷を買い取るトラスト運動へと発展、700万円近くの寄付が集まった。NPOが、市民から「知恵と力と勇気をもらった」ように思えるのだが、どうだろうか。  (By E.H)

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       クラウンブレッド平和堂さんからパンの差し入れをいただいた。


次回は、12月20日(土)10時30分から12時まで
 「NPO法人彦根景観フォーラムの400年祭 
-談話室「それぞれの彦根物語」での出会い」
です。
55回におよぶ談話室を振り返ります。今年最後の談話室、寺子屋力石でお会いしましょう。

また、12月21日(日)午前10時30分からは、芹橋二丁目の辻番所・足軽屋敷で、辻番所・足軽サロン「芹橋生活」が始まります。
第1回目は、京都女子大学教授 母利美和さんの「江戸時代の足軽」です。
以後、毎月第3日曜日に開催されます。どうぞ、お楽しみに。
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by hikonekeikan | 2008-12-16 21:35 | 談話室「それぞれの彦根物語」

歴史・景観・まちづくりフォーラム

歴史・景観・まちづくりフォーラム
会場:夏川記念会館(彦根市京町2丁目)

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彦根の歴史を尊重し、未来への布石となる知恵を話しあうフォーラムを開催いたします。
文化庁の重要伝統的建造物群保存地区とは、どんな制度なのでしょう?
制度を知ることは、大きな意味で徳し、さらに得します。
万が一の災害の時は、日常においては?
地域の個々の財産は、どう守られるのでしょう? いろいろな疑問を解説していただ きます。

渋谷博氏の「彦根今昔」写真展を展示しています。
ゑびす講の写真には、昔の平和堂や高島屋ののぼり旗、にぎわう銀座街。そして、正 木屋の昔の店構え、消えてしまった映画館、懐かしい彦根の写真の数々は、フォーラ ムの中で紹介していただきます。

d0087325_1852781.jpg歴史や景観は、地域の文化です。
育った街の再評価の為、写真も大事な資料です。
古い写真をお持ちの方は、是非、お持ちよりください。
地域を思い出す写真館を作りたいと思います。

PCに取り込んだものをデジタル・アーカイブと言います。
ワークショップで、それらを地図上に置いて見たいと思います。
みなさまのご参加をお待ちいたします。(入場無料)

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2008 年12 月7 日 (日) 
第一回
フォーラム&ワークショップ






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■ 第1 回フォーラム・・・・・開場 10:00・開始 10:30~ 12:00

伝建地区と地域資産の生かし方について   
文化庁文化財鑑査官・苅谷勇雅氏 

彦根の今と昔について その1          
渋谷写真館・渋谷博氏  
   
彦根の歴史まちづくりについて          
滋賀大学・山崎一眞教授

彦根の観光と情報について            
滋賀大学・谷口伸一教授
     
デジタル・アーカイブ事業と地域の今後について  
滋賀県立大学・柴田いづみ教授  

■ ワークショップ・・・・・・・・・・・・・・開始 13:30~ 15:30
歴史を保存するデジタル・アーカイブづくりについて、みんなでできるやり方を実際 にしてみます。
学生と一緒に地域の写真も撮ります。
PCの使えない方も、街の今昔について楽しめます。

講師:NPO 法人基盤地図情報活用研究会副理事長、星稜女子大学・沢野伸浩准教授
     滋賀県立大学・細馬宏通准教授


事業費:内閣府 「平成20年度 官民パートナーシップ確立のための支援事業」
主催:歴史・景観・まちづくりフォーラム、NPO 彦根景観フォーラム
後援:彦根市、滋賀県、彦根商工会議所、彦根商店街連盟、彦根青年会議所、滋賀県 建築士会彦根支部、花しょうぶ通り商店街、LLPひこね街の駅、ACT(滋賀県立 大学学生サークル)
滋賀大学山崎一眞研究室、滋賀県立大学柴田いづみ研究室


問合先Tel:滋賀県立大学柴田いづみ研究室:0749-28-8301
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by hikonekeikan | 2008-12-05 19:32 | フォーラム