【彦根物語74】
「彦根の空を見て120年」
加藤 真司
(彦根地方気象台 技術課 気象情報官)
彦根地方気象台は1893(明治26)年9月県立彦根測候所として創立され、120年近く同じ場所で今も観測や天気予報を続けています。
1896(明治29)年に観測した日雨量597ミリはいまだに彦根における観測史上1位の記録として残っています。風は台風によるものが記録の上位になっています。最近では短時間に降る強い雨が多くなっているので注意が必要です。
気象情報は今でも日々の生活の中で重要な情報の一つですが1941(昭和16)年12月8日~1945(昭和20)年8月15日まで、太平洋戦争による気象管制のため一切の気象情報が国民の前から消えてしまいました。天気予報を日々見ることができるということは平和の証しでもあります。ただ戦争中も気象観測はつづけられ、広島では原子爆弾が投下されたその日も記録は残っています。
また、伊吹山では1919(大正8)年から廃止される2001(平成13)年まで厳しい環境の中で観測を続けてきました、1182cmという積雪の記録は山岳の記録としては世界1位の記録になっています。
創立当時の彦根測候所
日雨量597mmを観測したときの天気図
今も残る昔の風向計(一部)
気象官制の通牒(再現)
昭和20年8月の広島地方気象台観測原簿(一部)
原爆が投下された8月6日、終戦の日8月15日も観測は続けられている。
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積雪世界一の記録
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