【彦根物語7】
「白露庵見学 茶室と茶庭」
川嶌 順次郎
(井伊直弼一会流樹聖会、京都女子大学講師)
大久保邸にある井伊藩家老脇家が建立の茶室が見事に修復され、じっくりと見学させていただいた。直弼茶道を学んでいるということで説明を請け負ったのだが、本来茶室も茶庭も、草庵式か書院式かの二様に分かれると言われる。茶室だけでなく鎖の間あり、書院之間ありとなると、織部や遠州が創意を尽くした書院式となるが、白露庵は正にそれである。織部風の茶室では京都の藪の内家の燕庵が代表的とされるが、それ以上に技巧的だと思われる。建物の構造にも窓にも、更には床にまで鋭角のラインが随所に見られるのには驚きである。鶴ヶ城の茶室麟閣と日本に二つしかないと言われるのはこれを指すのだろうか。それにしても直弼は、逆に徹底して草庵の茶を追及した人だから、彼が渾身の茶室を作っていたら、白露庵とは対極の草庵式茶室の見事なものが生まれ、白露庵とともに彦根の二大名茶室となったかも知れない。
大久保昭教さんによるお庭の説明と見学
白露庵
にじり口
茶室
書院の間
【キーワード】
脇家と高源寺
井伊藩の茶系
草庵式と書院式
井伊直弼の茶の湯
修行得道としての茶道
白露庵と麟閣