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NPO法人 彦根景観フォーラム

世界遺産を目指す彦根の課題 第2回

世界遺産シンポジウム in 彦根

お待たせしました。
2007年10月20日、滋賀大学講堂で彦根景観フォーラムが開催しました
世界遺産シンポジウムの模様をお知らせします。

そのまえに、口上を申し述べましょう。

彦根城は、我が国の世界遺産推薦の暫定リストに掲載されています。しかし、世界遺産について市民も含めた議論がされないまま暫定登録がされ、放置されている状態です。
世界遺産は、彦根にとってどのような意味を持つのでしょうか。観光業者だけの問題でしょうか。「世界遺産になれるわけがない」、「なるために税金を使うのは無駄だ」という意見もあります。「世界遺産になれば市の発展が阻害される」と懸念を表明する人もいます。こうした議論は、彦根のこれからのまちづくりを一人一人が考える上で大変重要です。
どのような未来であれ、彦根市民が努力しなければ実現しません。彦根のまちが100年後にどうなっているべきなのか、既に古民家は建て替えや除却がされ、マンションや駐車場に変わっています。次の築城500年祭を迎える頃には、現在とは全く異なる姿になっているでしょう。どんな彦根にするのか私たち市民の意思が問われています。
 そうです。市民の意思こそが世界遺産にも、彦根の未来にも必要なスピリットです。

世界遺産シンポは、都市史の権威で、彦根市の世界遺産懇話会座長の西川幸治先生のお話から始まりました。西川先生は、前滋賀県立大学学長で、彦根景観フォーラムの特別顧問です。 そして、彦根市の出身で、なによりも彦根を愛しておられます。きっと! 
では、どうぞ。

世界遺産をめざす彦根の課題(西川 幸治先生の講演を要約)

市民の願いが世界遺産を生み出す
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世界遺産への関心が高まったのは、エジプトのアスワンハイダムの建設に伴い、アブシンベル神殿を移築するプロジェクトが最初である。これは、世界が共通して価値を認める歴史遺産を、国連で保存再生しようとする最初の活動であった。
 ヨーロッパでは、中世都市を保存する活動が盛んである。ドイツ・ローマン街道にあるローデンブルグ、あるいは東欧圏にあったドレスデンやポーランドのワルシャワは、第2次世界大戦で壊滅的な打撃をうけたが、壊れた煉瓦を一つ一つ積み直し、全ヨーロッパ的な支援をうけて、昔の通りに建物や広場を再生した。
 1980年、ワルシャワは建物そのものの保存価値ではなく、街を再建復興させた人々の不屈の意志を認められて世界遺産に登録された。世界遺産では、本物であること、正統性が問われるが、歴史都市を再生したいという市民の願いと行動が正統性を超えて世界遺産にふさわしい価値を生み出したのだ。
 市民は、どのような思いで、絶望的な破壊の中から街の復興を成し遂げたのか。ひとりの建築家の言葉がある。「すべては未来のために」。市民の心に燃え続けた言葉だ。
(by EH)
 
by hikonekeikan | 2008-01-27 17:20 | フォーラム
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