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NPO法人 彦根景観フォーラム

6月1日(日) 第2回芹橋・辻番所の活用を考えるシンポジウム 開催にむけて

 第2回 芹橋・辻番所の活用を考えるシンポジウム を、6月1日(日)午後1時から、芹橋2丁目5-19の「辻番所のある足軽屋敷」および四番町ダイニング3階ホールで開催します。(詳しくは、前々回のお知らせをご覧ください。)
それに先だって、3月15日に開催しました第1回シンポジウムの様子を簡単に紹介します。


第1回シンポジウム
足軽屋敷と辻番所、そして芹橋地区の未来と彦根

 
 江戸時代、彦根城の外堀と芹川に挟まれた芹橋地区には、彦根藩最大の足軽組織「善利(せり)組」の組屋敷が約700戸ありました。
 しかし、転売や老朽化による建替などにより、現在は30戸ほどに減っています。
 江戸時代の見張り小屋「辻番所」を備えた足軽屋敷も、所有者の都合により売却・除却されることとなったため、急遽、地元の「芹橋足軽倶楽部」とNPO彦根景観フォーラムが買収・保存しようと市民有志によびかけ、「彦根古民家再生トラスト」を昨年12月に結成、1000万円を目指して寄付金を募り、3月末までに約550万円を集めました。

 第1回シンポジウムは、この足軽屋敷の保存とまちづくりを考えようと「彦根古民家再生トラスト」、芹橋足軽倶楽部、彦根景観フォーラムなどが初めて開催したもので、平成20年3月15日、彦根市芹橋2丁目の現地一帯で開かれ、市民ら約80人が参加されました。

辻番所・足軽屋敷の現地説明
 第1部は、芹橋の辻番所前で、彦根市教委の谷口徹さんが、足軽の組織や役割、かつて足軽が交替で辻番所の小窓から通りを監視していたことなどを説明されました。参加者は、足軽屋敷の武家らしい間取りや辻番所の内部を見学した後、目板塀と門とで構成される町なみと城下町特有の「どんつき」や「くいちがい」が残る町割りを、ボランティアガイドの皆さんの解説を聞きながら散策しました。
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建物の現状評価
 第2部は、四番町スクエアのホールで、濱崎一志・滋賀県立大教授が辻番所や主屋の構造、柱や床下の状態や耐震補強の必要性などを解説しました。辻番所は腐食や度重なる車の衝突で早急な修復が必要であり、足軽屋敷も重要な柱に白アリ被害があり補強が必要と判明しました。
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足軽コモンズの提案 
 つづいて、トラスト理事長であり彦根景観フォーラムの理事長でもある 山崎一眞・滋賀大教授が、辻番所・足軽屋敷を「足軽コモンズ」として活用する構想を提案しました。
これは、
①地元の人たちが自分たちの共有空間として活用しつつ、
②彦根を訪れる来訪者に地元の歴史を伝え体感する場を提供し、交流を図る、
③点在する本物の足軽屋敷をめぐる「歩く足軽博物館」の核施設としても機能させる
④彦根城→キャッスルロード→四番町スクエア→足軽組屋敷地区→芹川けやき並木の新散策  路の形成につなげる
というものです。
 これについて、芹橋の市川さんが「地域に住む生活者の視点が抜けていないか」と質問、山崎教授は「4月以降、住民の皆さんと話し合うワークショップを設けたい」と答えました。
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芹橋地区の未来を考える
 第3部は、「芹橋地区の未来を考える」というテーマで、青木 仁(ひとし)東京電力技術開発研究所主席研究員が講演されました。
青木さんは、「日本型街づくりへの転換(ミニ戸建・細路地の復権)」(学芸出版社,2007)などの著書があり、芹橋のような狭い路地を拡幅して、クルマが自在に入れる広い道路をつくる近代的まちづくりが、景観保全上も、都市経営上も行き詰まっていることを指摘しました。
そして、持続可能な都市経営の視点から、脱クルマのまちづくり、すなわち人が歩くことを基本とする細路地のシステムを再評価すべきだとされ、いくつかの路地の活用事例を示されました。
また、防災上の最大課題である地震での倒壊と火災の延焼の危険についても、狭い道路が被害を拡大させるとして道路拡張や都市改造に結びつけるのは誤りで、個々の建物の耐震性と耐火性の向上こそが第1に取り組むべき課題であるとされました。
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保全に向けた取り組み
 意見交換では、芹橋足軽倶楽部の会員で芹橋地区の自治会長でもある渡辺さんが、足軽屋敷の保全にむけた地域での取り組みを紹介され、市議会議員の有馬さん、細江さんが彦根市で新設された「文化財保護基金」の活用の可能性について報告されました。
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by hikonekeikan | 2008-05-27 00:32
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