【彦根物語47】
「彦根の地場産業(ファンデーション)について」
坂下 弘徳
(京都産業大学大学院生)
私が、大学院にて研究し始めたキッカケは、「地場産業として彦根になぜファンデーションが発展したのか」その理由が知りたかったからです。
全国に今、地場産業として約500余りの産地が形成して立地している中で、ファンデーションを地場産業として形成されている地域は、彦根以外にはありません。
そこで、彦根にファンデーションが出来たのは、昭和26年で同時足袋製造の経験があった千鳥産業(株)により始まり、その設立の中心人物が木下武三氏であったこと。
私自身、ファンデーションを勉強している中で、下着の歴史が約4万年前で、腰紐の様なものから誕生したと考えられており、その後、腰巻きであるロイン・クロスが発展し、そこから、今日の下着類であるショーツ、パンツ、ブリーフなどに発展していった。
日本においても、戦後、洋装下着の時代に突入していくことになるが、その中で戦後の下着業界の貢献者であるワコール㈱の塚本幸一氏、チュニックの鴨居羊子氏の存在にたどり着く。
同時に、彦根のファンデーションも洋装化の発展により順調に生産額を伸ばし、一時は日本一の生産高を誇るまでの地場産業に発展したが、その後に71年のニクソン・ショックと73年のオイル・ショック、そして中国・東南アジアなどの海外製品の進出などにより衰退を余儀なくされてきた。
そして、今、全国の地場産業はかつての繁栄とは反比例して限りなく衰退へと向かっている状況です。その意味で、今こそ彦根の地場産業(バルブ、仏壇、ファンデーション)をもう一度見直し、その実態を理解する必要があるのではないでしょうか。
その中でファンデーションについては、女性の約9割がお気に入りの下着を持ち、その下着から心と行動を変える心理的効果があると言われています。女性にとって、年齢に関係なくココロの若さを保つアイテムとして、お気に入りの下着を持つ意味が大きいことを男性は忘れてはならないと思います。
その意味で年齢に関係なく、記念日(誕生日、結婚記念日など)などにファンデーションをプレゼントしてみてはどうでしょうか。
きっと新しい発見に出会えることは間違いないです。
ファンデーション発祥の地
(彦根市後三条町)
現在の縫製会社の風景
下着の原点 ロイン・クロス
鴨居羊子と初代 鼻吉
【キーワード】
紐
ロイン・クロス
ワコール㈱
塚本幸一
鴨居羊子
千鳥産業(株)
木下武三
ひこね繊維協同組合
地場産業